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日本一のクレーマー地帯で働く日本一の支配人が明かすクレーム対応秘録
【第3回】 2011年7月21日
著者・コラム紹介バックナンバー
三輪康子 [歌舞伎町のジャンヌ・ダルク]

「日本一は私ではありません。
スタッフたちが日本一なんです」
前代見聞!ホテルのスタッフが労基署に「涙の訴え」

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 『日本一のクレーマー地帯で働く日本一の支配人』を書いた「歌舞伎町のジャンヌ・ダルク」こと三輪康子支配人が、数々のモンスタークレーマーとの闘いからクレーム対応の極意を教える連載企画第3回。今回は、現代版忠臣蔵、ともいうべき、これは事実なのかと一瞬疑いたくなるエピソード。でも、事実は小説より奇なり。上司と部下の関係を考えさせられる逸話だ。

クレーム対応はすべて私が受け持つ

  私が支配人を務める当ホテルは、全国展開するグループ内でも、過去何度も売上全国一になった店舗ですが、これもすべてスタッフたちのおかげです。

  一丸となって仕事に当たってくれているスタッフのチームワークこそが、連日満室ということも少なくない当ホテルを円滑に回してくれているのです。

  そのことがよくわかっているので、私は、スタッフを決して頭ごなしに怒るようなことはしません。もしも、スタッフがミスをしたら、次は気をつけてもらえばいいのです。人間誰しもミスをするものです。

  一番大切なことはミスをしないことでしょうか? それとも売上を伸ばすこと?
  いいえ違うはずです。
  職場のみんなが楽しく働いて、その楽しさをお客様にお伝えすることこそ、大事なのではないでしょうか。

  うまくいかなくなると、部下を怒鳴りつけることで責任を転嫁する上司が多いように思います。

  でも、それは部下の気持ちを踏みにじることだと私は思っています。

  たとえば、このホテル。ヤクザのたまり場になるなど、一時非常に荒れていた時期がありました。

  しかし、スタッフたちは「いま、自分がやめたら、ほかのスタッフたちに迷惑がかかる」の一心で、辞めずに踏みとどまってくれていたのです。

  もし、私がその状態のなかでスタッフのミスを叱責し、売上のことばかり言っていたらどうでしょう。スタッフたちは外からも内からも責められ、きっとボロボロになってしまったと思います。

  私がまず始めたのは、クレーム対応はすべて自分が受け持つことでした。

  部下はちゃんと上司の姿を見ています。一番嫌なことを部下に押しつけて、自分は安全なところにいる上司にスタッフはついてきてくれません。

  私が着任した当初、ベテランのスタッフたちは業務をきちんと回していました。
  一番の難敵はクレーム対応だったのです。
  そこで、私はすべてのクレーム対応を自分に回すようにスタッフたちに言いました。

  クレーム対応の専門家からは、こう言われます。
「一番の責任者が最初に出ていっちゃダメだ」

  でも、このホテルで起こったことの責任は私にありますから、もし、何か至らないところがあったら私が謝ればいいのです。
  一番大変な仕事は上の者がやる。その背中を見ているからこそ、部下がついてくる。とてもシンプルなリーダーシップの法則だと思います。

  当ホテルには外国人の清掃スタッフもいます。
  みな、真面目で一生懸命ですし、身元もしっかりしています。
  でも、清掃スタッフが部屋に置く名刺の名前がカタカナであるだけで、「ガイジンが、物を盗んだ!」と指をさして、クレームをつけてくるお客様がいます。
  もし日本人だったらそんなことを言うのでしょうか。
  私は、はっきりこう言います。

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    三輪康子 [歌舞伎町のジャンヌ・ダルク]

    日本一のクレーマー地帯で先頭に立って部下を守りながら、モンスタークレーマーを体当たりで受け止め、次々ファンに変えた伝説の名物支配人。青森県生まれ。ホテル業界未経験ながら、着任当初、ヤクザ、売春婦、薬物密売業者などが徘徊していたホテルを粘り強い交渉と人情で、安全で清潔なホテルに生まれ変わらせた。その功績が認められ、警察から「歌舞伎町のジャンヌ・ダルク」と尊敬をこめて呼ばれ、感謝状が贈られた。


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