「共謀罪」の構成要件を改めて「テロ等準備罪」を新設する改正組織犯罪処罰法が、参議院本会議で採決され、自民・公明両党と日本維新の会などの賛成多数で可決・成立した。

 2015年の「安保法制」の成立に続き(本連載2015.9.19付)、民進党・社民党・共産党などの野党は、法案の「廃案」を求めて、国会で徹底的に抗戦した。また、国会の周辺では、反対を訴えている人たちが、「強行採決絶対反対」と抗議の意思を示していた。しかし、「安保法制」に続いて、法案は事実上「無修正」で国会を通過してしまった。

 本稿は、今国会における野党の対応を「0点」と厳しく批判せざるを得ない。「テロ等準備罪」を新設する法案が、問題の多いものだということは言うまでもない。277ある処罰対象の罪のうち、テロに関連するものは110しかない。国民の大多数が、不安に思っているのは明らかだろう(2017.4.11付)。しかし、それらは1つも削られることなく、無修正で国会通過し、法律として成立してしまったのだ。この責任は、野党の側にある。

 安倍政権は、国政選挙で4連勝し、衆参両院で圧倒的多数の議席を獲得している(2016.7.19付)。政府提出の法案は、国会で可決するのが当然であり、また民主的な正当性もあるのだ。

 野党が廃案を求めるのは、非現実的である。野党は、法律の成立は仕方ないものとして、国民の不安をできる限り払拭するため、与党と協議に臨み、法案の修正を全力で求めていくべきではなかったか。さらに言えば、法律の成立を前提として、その法律の運用を厳しくチェックするための「対案」を提示する「第3の道」があったのではないかと考える。