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上久保誠人のクリティカル・アナリティクス

安保反対派はデモよりも
「政権交代こそ常道」を痛感せよ(上)

上久保誠人 [立命館大学政策科学部教授、立命館大学地域情報研究所所長]
【第115回】 2015年9月19日
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野党5党はあらゆる手段を講じたが、国会で法律が成立することは、仕方のないこと Photo:AP/AFLO

 連立与党の自民、公明両党は、安全保障関連法案(安保法制)について、参院特別委員会・本会議で強行採決して可決成立させた。民主党、維新の党、社民党、共産党、生活の党の野党5党は、「あらゆる手段を講じて成立を阻止する」として、9月16日から18日にかけて、鴻池祥肇委員長を野党議員が取り囲んでの委員会開催阻止(16・17日)、理事会開催場所を巡る野党の猛抗議(17日)、委員長不信任動議提出(17日)、その審議における福島みずほ氏、山本太郎氏の長時間に渡る賛成演説(フィリバスター)、首相・閣僚への問責決議案の次々の提出(18日)、内閣不信任案提出(18日)と枝野幸男氏らのフィリバスター、参院採決における山本氏の「一人牛歩戦術」と、参院本会議における法案可決成立まで、まさに、野党は「あらゆる手段を講じた」といえる。

 筆者は、安倍晋三政権が安保法制を成立させることに反対の立場である。しかしながら、国会で法律が成立することは、仕方のないことだと考えている。自民・公明の連立与党は、2012年12月の衆院選(第50回)、2013年7月の参院選(第64回)、2014年12月の衆院選(第96回)と、国政選挙で3連勝し、衆参両院で安定多数を確保してきた。どの選挙でも、安倍首相は安全保障関連を「争点外し」しておいて(もちろん、マニフェストには明記してあったとしても)、選挙後になると「すべて信任を得た」と言った。これには、言いたいことがたくさんある。

 それでも、安保法制は現在の議会多数派が提案した法律なのだ。国会で成立しなかったらおかしな話だ。仮にこれが「廃案」となるようなら、それは「議会制民主主義」の破壊だったのではないだろうか。

反対派による「少数派の横暴」に
民主的正当性はない

 安保法制反対派は、「国民全体に法案への反対が広がっている」と主張する。強行採決を「多数派の横暴」だと批判するのだ。しかし、筆者にはむしろ、「少数派の横暴」に見えて仕方がない。

 世論調査によれば、国会周辺など各地で行われている安全保障関連法案に反対する集会に参加した経験がある人は「3.4%」だという。その「7割」が「廃案を訴える政党」の支持者だ。年代別にみると、最も高いのは60代以上の「52.9%」で、40代の「20.5%」、50代の「14.7%」と続く。若者のデモ組織が話題となっているが、実は20代の参加はわずか「2.9%」に過ぎない。

 また、集会に参加したことがない人で、「今後参加したいと思わない人」は「79.3%」だという。これらから言えることは、要するに安保法制への反対集会は「国民全体」のものではなく、「特定政党の支持層」「60年・70年安保闘争経験者」の集まりというのが実像だということだ(産経新聞・FNN合同世論調査)。

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上久保誠人 [立命館大学政策科学部教授、立命館大学地域情報研究所所長]

1968年愛媛県生まれ。早稲田大学第一文学部卒業後、伊藤忠商事勤務を経て、英国ウォーリック大学大学院政治・国際学研究科博士課程修了。Ph.D(政治学・国際学、ウォーリック大学)。博士論文タイトルはBureaucratic Behaviour and Policy Change: Reforming the Role of Japan’s Ministry of Finance。

 


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国際関係、国内政治で起きているさまざまな出来事を、通説に捉われず批判的思考を持ち、人間の合理的行動や、その背景の歴史、文化、構造、慣習などさまざまな枠組を使い分析する。

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