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岸博幸のクリエイティブ国富論

来るべき民主党代表選に不可欠な政策論争

岸 博幸 [慶應義塾大学大学院メディアデザイン研究科教授]
【第147回】 2011年7月22日
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 8月に行われると言われている民主党代表選について、政治関係者から色々な噂が入ってくるようになりました。「仙谷が、世論の支持が広がらない野田を見限った」「仙谷の要請で前原が出馬の決意を固めた」「野田が世間の悪評を気にして財務省離れを始めた」など、本当に様々な噂が聞こえてきますが、気になるのは、代表選に出るであろう人たちがどのような政策を掲げるのか、という点については何も噂が聞こえて来ないことです。

ひどい政策の連続

 菅首相が行政の長とは思えないようなメチャクチャを、特にエネルギー関連で繰り広げているので、メディアも世論も政治・政策に嫌気がさしてしまったのか、最近はひどい政策が濫発されているのに、あまり目立った批判がありません。

 例えば、今日成立した第2次補正予算は、総額2兆円のうち8000億円が予備費となっています。予備費とは使途が決まっていない予算であることを考えると、補正予算とは臨時緊急の必要のために編成されるものなのにその4割が使途不明、という論理矛盾を起こしています。

 これも菅首相が突然補正をやると言い出したツケではありますが、こんな非常識な補正予算は久しぶりではないでしょうか。

 次に、今月中に策定される復興基本方針について色々と報道されていますが、ここでもひどい議論が横行しています。

 復興構想会議の提言という霞ヶ関文学の成果物に入っただけで、もう復興増税が既定路線になっています。消費税は社会保障に使うので法人税か所得税の増税で、となっていますが、電力不足と電力料金高騰によって企業の海外逃避が加速する危険性が高い現状で、本当に法人税を増税して大丈夫でしょうか。

 また、復興特区についての報道を見ても、今までの特区制度に多少毛を生やした程度に過ぎません。

 しかし、改革を行なう場合にはサンクコスト(埋没費用)と既得権益が障害になることを考えると、生産機能を含む街が破壊されてゼロから新たなものを建設しなくてはいけない被災地は、サンクコストがゼロの状態から再興に取り組めるという、改革を行なうには最適の場でもあります。

 従って、復興特区は大胆な改革を後押しできるような思い切った制度とすべきなのに、従来の規制緩和に加えて多少の税の減免や手続きのワンストップ化程度のしょぼい中身では、改革をやるなと言っているに等しいのではないでしょうか。

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岸 博幸 [慶應義塾大学大学院メディアデザイン研究科教授]

1986年通商産業省(現経済産業省)入省。1992年コロンビア大学ビジネススクールでMBAを取得後、通産省に復職。内閣官房IT担当室などを経て竹中平蔵大臣の秘書官に就任。不良債権処理、郵政民営化、通信・放送改革など構造改革の立案・実行に関わる。2004年から慶応大学助教授を兼任。2006年、経産省退職。2007年から現職。現在はエイベックス・マーケティング株式会社取締役、エイベックス・グループ・ホールディングス株式会社顧問も務める。

 


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