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森信茂樹の目覚めよ!納税者
【第8回】 2011年7月25日
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森信茂樹 [中央大学法科大学院教授 東京財団上席研究員]

『総額表示』と『外税方式』
消費税引き上げにとって
どちらが望ましい価格表示か

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外税方式に戻して欲しい
という事業者からの声

 前回この欄で、「消費税率はいつから、何%引き上げるべきか」と題する文章を書いた。その中で、「消費税は価格の値上げを通じて消費者に負担を求める税なので、デフレ経済下では、下請け、孫請けが元請けに、あるいは商店が顧客に消費税増分の価格転嫁をできず、自らのマージンを削って負担する『損税』を生じさせかねない」ということを書いた。

 これに対して、私のところにいろいろな方から意見・投書をいただいた。その中で、私が注目すべきだと思ったのは、事業者の方からの次のような意見である。

 「『損税』が生じる原因の一つは、『総額表示』にある。『総額表示』のもとでは、消費税率の引き上げの際に消費者側が、値上げだと思ってしまうので、価格を容易に上げることができない」という意見である。

 そこで、「以前のように、レジ等で消費税を課税する、『外税方式』に戻してほしい」ということになる。

 平成16(2004)年4月1日以後、法律改正が行われ、消費者に価格を示す場合には、それまでの「外税表示」(税抜き価格表示)から、消費税額を含む価格の表示(「総額表示」)を事業者に義務付ける改正が行われた。

 この理由について、財務省ホームページは以下のように解説している。

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森信茂樹 [中央大学法科大学院教授 東京財団上席研究員]

(もりのぶ しげき)法学博士。東京財団上席研究員、政府税制調査会専門家委員会特別委員。1973年京都大学法学部卒業後、大蔵省入省、主税局総務課長、東京税関長、2004年プリンストン大学で教鞭をとり、財務省財務総合研究所長を最後に退官。その間大阪大学教授、東京大学客員教授。主な著書に、『日本の税制 何が問題か』(岩波書店)『どうなる?どうする!共通番号』(共著、日本経済新聞出版社)『給付つき税額控除』(共著、中央経済社)『抜本的税制改革と消費税』(大蔵財務協会)『日本が生まれ変わる税制改革』(中公新書)など。
 

 


森信茂樹の目覚めよ!納税者

税と社会保障の一体改革は、政治の大テーマとなりつつある。そもそも税・社会保障の形は、国のかたちそのものである。財務省出身で税理論、実務ともに知り抜いた筆者が、独自の視点で、財政、税制、それに関わる政治の動きを、批判的・建設的に評論し、政策提言を行う。

「森信茂樹の目覚めよ!納税者」

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