仕事の着手・処理スピードを遅らせ、モチベーションも下げるネガティブな仕事。負のスパイラルを断ち切るために、このネガティブな仕事をどう見つけ、どう減らせばいいのか? ベストセラー『職場の問題地図』の人気業務改善士が生産性アップのコツを伝授。新刊『チームの生産性をあげる。』から一部を紹介。

 生産管理の現場では、古くから「ムダ・ムラ・ムリをなくそう」なんて合言葉が根づいています。ところが、これまた「言うは易し、行うは難し」。なかなか、効果的な改善活動に結びつかず、生産性があがらない職場を多く見かけます。ムダをなくせない背景は、大きく3つあります。

(1)そもそもムダに気づけない
(2)ムダだと言えない
(3)ムダをなくす行動ができない

 あなたの職場は、この3つのどこでつまずいているでしょうか? そもそもムダに気づけないことには、生産性向上もへったくれもありません。何を改善すべきかもわからない。改善するためのムダを無理やりでっちあげて、改善した気になる。あるいは、なくしてはいけない作業をなくして、品質を下げてしまう。そんな「改善ごっこ」に意味はありません。

ネガティブな仕事を洗い出す
スピードを遅らせる負のスパイラルを断ち切る

 まずはネガティブな仕事にアタリをつけてみましょう。生産性を向上させるには「減らす」と「増やす」が必要。さらには、ネガティブな仕事を減らして、ポジティブな仕事を増やしていきたいもの。そのためには、何がネガティブな仕事かをチームで意識合わせする必要があります。以下の3つが、仕事の処理速度をあげる要素です。

(1)着手スピード
(2)処理スピード
(3)完全性

 その仕事への着手が早く、手早く処理でき、かつミスがない(=手戻りがない)。これが実現できれば、作業単位の処理速度は大幅に向上します。短時間でより多くの仕事をさばけるようになります。

 ところが、ネガティブな仕事……たとえば、「やらされ感」満載だったり、面倒くさかったり、何のためにやっているのかわからない仕事だったらどうでしょう?

「なかなかやる気がおきない」→着手スピードを下げます
「やる気がないので、だらだらしがち」→処理スピードを下げます
「やる気がないので、ミスも多い」→完全性を低くします
「ミスだらけで、やり直しさせられた」→さらにやる気を下げます

 まさに負のスパイラル。よって、ネガティブな仕事は減らすに越したことはありません。