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国内旅行市場は東日本大震災前から深刻化
高まる東北エリアへの観光意欲は起爆剤となるか

小川 たまか
【第36回】 2011年7月26日
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 夏期休暇が近づき、休暇中の予定に思いをはせている人も多いのではないだろうか。旅行客の減少がささやかれる近年の傾向だが、国内旅行では東北3県(青森県・秋田県・山形県)への旅行意向が高まっているというアンケート結果が発表された。

 アンケートはリクルート(東京都千代田区)が行った「宿泊旅行調査2011」。じゃらんリサーチセンターを通じ、2011年4月15日~20日に1次調査、20日~26日に2次調査を行った。調査方法はインターネット。回収数は1次調査が8万件、2次調査が1万5556件(有効回答数1万5513件)。

のべ宿泊数は前年比2092万泊減少
宿泊旅行費も調査開始以来最低に

 調査によれば、昨年度1年間(2010年4月~2011年3月)の宿泊旅行を行った人の割合(国内、出張/帰省/修学旅行などを除く)は、57%。前年度から3.6%減と減少した。震災のあった3月を除く2月末までの比較でも3.2%減だった。のべ宿泊旅行数は1億5020万人で前年度比7.5%減、のべ宿泊数は約2億4686万泊で、こちらも前年度比2092万泊減少。観光業界にとって厳しい現状が明らかになった。

 年齢別・世代別に見ると、宿泊旅行を行った人の割合が高いのは20~34歳までの女性と、50~79歳までの女性で、どちらも約61%。男性の全世代(20~34歳、35~49歳、50~79歳)と、女性の35~49歳までは、50%台前半にとどまった。全体的に見て女性の方が旅行に積極的だが、子育てや仕事に忙しい35~49歳の層では割合が低いようだ。

 さらに、宿泊旅行にかけられた総額は約7兆円で、約8兆8000億円だった2009年度から下がり続けている。宿泊旅行費総額は、2005年度から2009年度まで、8兆円台中盤から後半で推移していたが、2010年度に約7兆6000億円となり、今年は調査開始以来最低となってしまった。

青森・秋田・山形は旅行意向が増加
岩手・宮城・福島は微妙な結果に…

 続けて、エリアブロック別の旅行先実績と年内中の希望旅行先を調査。旅行意欲が高いのは首都圏エリア(48.9%)や関西エリア(44.2%)だったが、年内の旅行意向が、2011年度の実績を大きく上回っていたのは沖縄エリア(旅行実績÷旅行意向=3.7)と「青森県・秋田県・山形県」(同=3.0)。3位(北海道エリア=2.4)以下と大きな差をつけた。リクルートでは、青森新幹線の開通に加え、「東北へ行くこと自体が支援になると意識する人が増え始めたこと」が理由ではないかと分析している。

 ただ、被害が著しい、または今も原発問題解決の目処が立たない「岩手県・宮城県・福島県」への旅行意向は19.9%と、調査した11エリア中最低で、実績との比較でも1.8と平均並みだった。アンケートが行われたのは震災から約1ヵ月の時期。その後の経過で旅行意向にも変化があったかもしれないが、ややさみしい結果となった。

 アンケートの中の<テーマ別都道府県魅力度ランキング2011>では、「地元ならではのおいしい食べものが多かった」の2位、「魅力のある特産物や土産物が多かった」の8位に宮城県、「地元の人のホスピタリティを感じた」の4位に青森県、5位に宮城県、6位に岩手県が選ばれている。

 「仙台七夕まつり」(8月6日~8日)や「青森ねぶた祭」(8月2日~7日)など、東北でも大小さまざまな夏の催しが控えている。ボランティアももちろん必要だが、観光を通じた東北支援の盛り上がりにも期待したい。

(プレスラボ 小川たまか)

世論調査

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価値観が多様化し、隣の人の考えでさえ分かりづらい現代。注目のテーマについて、みんながどう考えているか気になるところだろう。この連載では様々な統計、調査結果等を取り上げ、その背景にあるトレンドや人々の意識を分析。現代の「日本人の気持ち」=「世論」を探っていく。

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