ダイヤモンド社のビジネス情報サイト
システムの「外注」成功の鉄則
【第7回】 2017年6月27日
著者・コラム紹介バックナンバー
細川義洋

システム担当者が社内で「孤立」するリアルな過程
『システムを「外注」するときに読む本』の一部を無料公開

1
nextpage

「システムに欠陥が多すぎて使えない!」
「開発や保守・運用費用が高すぎる!」
「なぜか社員が協力してくれない……」
「経営者がシステムのことを全然わかってない……」

ホームページ、ECサイト、Webマーケティングシステム、AI、ビッグデータ、IOTなど、ITシステムが企業の経営を左右する時代。……にもかかわらず、ほんの数年前まで、日本のITシステム開発は3分の2が失敗しており、今もなお、システム開発は他のプロジェクトと比べると成功率の低いのが現状です。

そこで、かつてない「発注者のための入門書」として、発売早々重版が決まった『システムを「外注」するときに読む本』。本連載では、そのエッセンスを大公開。70以上のトラブルプロジェクトを解決に導き、紛争解決率9割を超えた「トラブル解決請負人」が、システム開発プロセスに潜む「地雷」を紹介しながら、成功のポイントを伝えます。

なぜ、自社の社員なのに、協力してくれないのか?

あなたの会社や組織でシステム開発を行なうとき、新しいシステムのエンドユーザーとなる部門の人は、本来の業務を休んででも、システム担当者に協力してくれるでしょうか。

あるいは、エンドユーザー部門の人が、積極的にプロジェクトに参画するような「しくみ」や「風土」があるでしょうか。

実は、システム担当者の大きな悩みの1つは、「社員が協力してくれない」ということにあります。システム開発プロジェクトにおいて、社員の非協力な態度は、最大の危機をもたらすことになります。

では、なぜ、自社を幸せにするシステムを作ろうとしているのに、社員が協力してくれないという事態が起きるのか。今回は、その過程を『システムを「外注」するときに読む本』の一部を抜粋する形で、追体験していただきたいと思います。

-------以下、『システムを「外注」するときに読む本』第4章より抜粋

赤羽大輔は、大手スーパーチェーン「京浜マーケット」のシステム開発課長だ。

赤羽は、ここ数日、新システム「京浜マーケット御用聞きシステム」の開発について、社内の各部署にヒアリングしたときの会話を思い出していた。

--------

「意見の取りまとめはいかがですか。『今日までには必ず』と、石川部長おっしゃいましたよね?」
「悪い悪い。マーケティング部はいろいろと忙しくてさ。近々、若い連中に要望を聞いとくから」

「……え? まだヒアリングもされてないということですか? もう約束の期限を2週間も過ぎているんですよ?」
「仕方ないじゃない。赤羽さんもわかってるでしょ? 何せウチは京浜マーケットの要だ。お客さんの好みや流行や天候までを敏感にキャッチして、品揃えや宣伝に関する指示をリアルタイムで店舗に出さなきゃならないんだから。忙しいんだよ。みんな」

「この御用聞きシステムは、社長肝いりの新企画です。もう少し、本腰を入れていただくわけには参りませんか?」
「は? うちが非協力的だとでも言いたいの? おいおい冗談じゃないよ。今日だってアンタがあんまりしつこいからわざわざ時間を作ったってのに、そんなことを言われる筋合いないよ!

「いえ、決してそんなつもりでは……」
「ウチはね、この京浜の売上を直接左右する重要部門なんだ。日がな1日、パソコンいじってりゃ自然と給料が入ってくるシステム屋さんとは違うんだよ!

会社のために頑張っているのに……
1
nextpage
スペシャル・インフォメーションPR
ダイヤモンド・オンライン 関連記事
チームの生産性をあげる。

チームの生産性をあげる。

沢渡あまね 著

定価(税込):本体1,600円+税   発行年月:2017年7月

<内容紹介>
どんな職場でも働き方は変えられる!人気の業務改善士が教える、仕事の進め方を変えて、アウトプットを最大化する8ステップ。日本マイクロソフト、ヤフー、日本旅行、ナムコ、NTTデータ、大阪王将、ジヤトコ…他、企業事例多数!「働き方改革」実践書の決定版!

本を購入する
ダイヤモンド社の電子書籍
(POSデータ調べ、7/2~7/8)



細川義洋(ほそかわ・よしひろ)

政府CIO補佐官。ITプロセスコンサルタント。元・東京地方裁判所民事調停委員・IT専門委員、東京高等裁判所IT専門委員。

立教大学経済学部経済学科卒業後、NECソフト株式会社(現NECソリューションイノベータ株式会社)にて金融機関の勘定系システム開発など多くのITプロジェクトに携わる。 その後、日本アイ・ビー・エム株式会社にて、システム開発・運用の品質向上を中心に、 多くのITベンダと発注者企業に対するプロセス改善とプロジェクトマネジメントのコンサルティング業務を担当。 独立後は、プロセス改善やIT紛争の防止に向けたコンサルティングを行なう一方、ITトラブルが法的紛争となった事件の和解調停や裁判の補助を担当する。これまで関わったプロジェクトは70以上。調停委員時代、トラブルを裁判に発展させず解決に導いた確率は9割を超える。システム開発に潜む地雷を知り尽くした「トラブル解決請負人」。2016年より政府CIO補佐官に抜擢され、政府系機関システムのアドバイザー業務に携わる。

著書に『なぜ、システム開発は必ずモメるのか? 49のトラブルから学ぶプロジェクト管理術』『「IT専門調停委員」が教える モメないプロジェクト管理77の鉄則』(ともに日本実業出版社)、『プロジェクトの失敗はだれのせい?』『成功するシステム開発は裁判に学べ! 』(ともに技術評論社)などがある。


システムの「外注」成功の鉄則

「システムの「外注」成功の鉄則」

⇒バックナンバー一覧