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成功するリーダーは何をやっているのか?
【第4回】 2017年7月3日
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小宮一慶

成功するリーダーは、「目的」と「目標」の違いを理解している

一流の経営者やリーダーは何をやっているのか? 人気コンサルタント小宮一慶氏の最新刊『経営者の教科書』(ダイヤモンド社)は、その20年以上の経験から成功する経営者・リーダーになるための極意をまとめた本です。本連載では、同書の中から抜粋して、成功するリーダーになるための考え方と行動について、くわしく解説していきます。

 

人を動かすために必要な「二つの覚悟」

 経営という仕事の三つ目は、「人を動かす」でしたね。

 「人を動かす」というのは、経営者やリーダーにとっては、とても重要な要素です。

 同業で、同じようなことをやっていても業績にすごく差が出るのは、「徹底」も含めて、働く人の「意識」の差が会社によって大きく異なるからです。

 ここでは、経営者やリーダーにとって大切な「二つの覚悟」について紹介します。

 一つ目は、「先頭に立つ覚悟」です。以前にも少し触れましたが、先頭に立って行動する「指揮官先頭」の覚悟がないリーダーには、誰もついてきません。

 もう一つは「責任を取る覚悟」です。自分の管轄下にある組織については、すべての責任を取る覚悟がないと、やはり、部下は思い切って仕事ができません。

 今日からでも、すぐにでも、この二つの覚悟を持って行動してほしいと思います。

 本連載の第1回で、「正しい努力の積み重ね」について説明しましたが、積み重ねを始めるのは早ければ早いほど効果があります。ですから、今日からでも「先頭に立つ覚悟」「責任を取る覚悟」を自覚して行動してください。

モチベーションより働きがいを高める

 私のところには、経営者から「社員のモチベーションを上げるにはどうすればいいか?」という質問がときどき寄せられます。

 その時に私は、必ず「働きがいを高めることです」とお答えします。社員のモチベーションを高めることはもちろん大切なことですが、そのために無駄な努力をしている会社が少なくないからです。

 皆さんは、ディズニーランドに行ったり、親しい仲間とゴルフをする際に、わざわざモチベーションを上げる努力などしていないはずです。なぜなら、そういう時には、自然にモチベーションが上がるからです。

 本来、仕事においても、自然にモチベーションが上がるはずなのですが、経営についての考え方が間違っていると、働く人のモチベーションが上がらない状態に陥るのです。

 その一番の原因は、経営者やリーダーが「目的」と「目標」の違いをはき違えているからです。皆さんは、「目的」と「目標」の違いは、おわかりですか?

 私のお客さまの中には、若い従業員が「早く朝が来ないかな」と会社に行くのを待ち望んでいる会社があります。

 また、その会社では工具を各人が使う現場仕事があるのですが、その工具を家に持ち帰って夜に磨いている社員もいます。ものすごいモチベーションですよね。

 彼らはモチベーションアップなどを考えるまでもなく、非常に高いモチベーションを持っているのです。そんな従業員が多くいる会社では、当然、業績も抜群です。

 会社に行くことすら嫌な社員がいる会社と、夜に工具を手入れして、朝が早く来ないかなと思っている従業員がいる会社とでは、お客さまの評価や業績が違うのは当然です。

 その会社では、お客さまに喜んでもらうことや働く周りの仲間に喜んでもらうことを最重要にしています。そのためには、経営者は「目的」と「目標」の違いをきちんと認識する必要があるのです。

「目的」と「目標」の違い

 それでは、とても大切な「目的」と「目標」の違いについて説明しましょう。しっかりと理解してください。

 そもそも「目的」とは何でしょうか。それは「存在意義」です。「目標」とは、その通過点であったり、目的達成の手段のことです。

 たとえば、私の経営コンサルタントとしての「目的(=存在意義)」は「関わる人に成功していただくこと」です。関わる方たちが成功されれば、私の会社や私の成功につながるからです。

 一方、「目標」としては、「100冊単著で出版する」ということでしたが、おかげさまで数年前にその目標は達成しました。

 しかし、だからといって目的は達していません。私が現役で働く限り「関わる人に成功していただく」という目的はなくならないのです。これで、目的と目標の違いは分かっていただけたかと思います。

 それでは、企業の「目的」とはなんでしょうか?

 本来、企業は良い商品やサービスを社会に提供し、お客さまに喜んでいただくことを、目的の一つとしています。それから、それを通じて働いてくれる仲間を幸せにすることも、目的の一つです。地域社会に貢献することも存在意義です。企業の「目的」です。

 ピーター・ドラッカーは「独自の商品やサービスを提供すること」と「働く人を活かす」ことを企業の目的に挙げていますが、同じことです。

 その目的達成のために、お客さまに喜んでいただけるような商品やサービスを提供して、今年は「50億円の売上高をあげよう」とか、その結果「2億円の利益を出そう」というのは、「目標」なのです。「東証一部に上場しよう」も目標です。

 つまり、「50億円売ろう」というのは、50億円分良い仕事をしてお客さまに喜んでいただこうということです。それだけの評価を得ようということです。

 それを目標に設定することは、社会に貢献しようとする目的と何一つ矛盾しないし、良い仕事をしようとするとき、それを尺度として「50億円分売れるくらい良い仕事をしよう」と考えるのが目標の役割でもあります。

 ところが、多くの会社が間違ってしまっているのは、「50億円売ろう」「2億円の利益を出そう」という、本来なら「目標」とすべきことが、「目的」化していることです。

 これだと、部下に対して「数字を出してこい」という話になってしまいます。そうなれば、東芝の例を出すまでもなく、経営がおかしくなり、働いている人が疲れるのです。

 「良い仕事」をし「お客さま第一」を実践することを目的にできるかどうか、さらに目的にし続けられるかどうか。ここが働く人をルンルン気分にし、会社が継続的に繁栄させられるかどうかの大きなポイントなのです。

世の中が会社に求めるのは、「良い仕事」

 私の人生の師匠は99歳で亡くなった藤本幸邦老師(曹洞宗円福寺)ですが、よく私に「小宮さん、お金を追うな、仕事を追えだよ」と私を戒めてくれました。

 「仕事」、それもお客さまが喜んでくれるような「良い仕事」を提供することが、私にとっても、そして誰にとっても目的なのです。

 世の中が求めているのは、会社の売上高や利益の数字ではなく、「良い仕事」なのです。

 同様に、「お客さま第一」を目的ではなく儲けるための手段と考えてしまうと、会社は一時的には儲かっても、いずれうまくいかなくなってしまいます。そんなことは理想論だと思う人がいるかもしれません。ある程度、ビジネスをやっている人は、特にそう思うかもしれませんね。

 でも、そう思っているうちは、働いていても楽しくないし、本当には儲かってはいないはずです。お金のためだけに働いていて、たいして満足感を得ていないですし、それでいて、たいして稼いでいないからです。

 その最大の理由は、考え方が間違っているからです。

 正しい考え方さえ持てば、ルンルン気分で働けますし、結果として儲かるのです。

「お客さま第一」と「良い仕事」を追求する

 働く人がルンルン気分で働き続けられるかが、とても大切です。

 そのためには、経営者も従業員も、仕事を楽しむことができるレベルに達することが大切なのです。それには「目的」と「目標」の違いを認識することなど、経営者の基本的な考え方や姿勢が大きく影響しています。

 「良い仕事(1.お客さまが喜ぶこと、2.働く周りの仲間が喜ぶこと、3.工夫)」をすることに集中させていたら、とにかく「良い仕事」をしていればいいわけですから、従業員は楽しいのです。働きがいを感じるからです。

 従業員が会社にルンルン気分で来られるのは、仕事が好きだからであり、ひいては、お客さま第一や良い仕事を通じて、お客さまや社会に貢献することを自覚しているからに他なりません。

 もし仕事が、お金を稼ぐための手段でしかなかったら、お金を稼ぐまでは楽しいけれど、ある程度稼いでしまったら「もうこんなものでいいか」と思ってしまいます。

 一方、いつも「良い仕事をしよう」と思い続けていたら、当然のことながら、いつまでもルンルン気分で仕事ができるはずです。なぜなら、多くの人に喜んでもらえるからです。

 そうして、どの従業員さんもルンルン気分で、良い仕事をすることをずっと追い求めている方が、間違いなく結果として会社は儲かるのです。そのような会社を働く人もお客さまも好きですからね。

 「お客さま第一」を本当の目的にし、お客さまに喜んでいただける商品やサービスを出し続ける会社は、それができます。だから永遠に発展し続ける、永遠に儲かり続けるのです。

 でも、「お客さま第一」を手段にしている会社は、結局は伸びません。ある程度儲かったら経営者は満足して、儲かったお金をどう使おうか、余暇をどう使おうか、という話になってしまいます。

 ここで確認ですが「良い仕事」とは、結果として稼ぐことができる仕事だと思っています。稼げない仕事というのは、人が十分には評価していない仕事ですから、「良い仕事」ではないのです。

 とにかく、結果として稼ぐことができるくらいの良い仕事をしなければならないのです。

 良い仕事かどうかは、人が評価するもので、自分で自己満足していてはダメなのです。評価するのはあくまでもお客さまや社会です。

小宮一慶(こみや・かずよし)
経営コンサルタント
株式会社小宮コンサルタンツ代表取締役会長CEO
十数社の非常勤取締役や監査役、顧問も務める。
1957年大阪府堺市生まれ。京都大学法学部を卒業し、東京銀行に入行。84年から2年間米国ダートマス大学経営大学院に留学し、MBA取得。帰国後、同行で経営戦略情報システムやM&Aに携わったのち、岡本アソシエイツ取締役に転じ、国際コンサルティングにあたる。その間の93年初夏には、カンボジアPKOに国際選挙監視員として参加。94年5月からは日本福祉サービス(現セントケア・ホールディング)企画部長として在宅介護の問題に取り組む。96年に小宮コンサルタンツを設立し、現在に至る。2014年より、名古屋大学客員教授。
著書に『社長の教科書』『ドラッカーが「マネジメント」でいちばん伝えたかったこと。』(ダイヤモンド社)、『どんな時代もサバイバルする会社の「社長力」養成講座』『ビジネスマンのための「発見力」養成講座』『ビジネスマンのための「数字力」養成講座』『ビジネスマンのための「読書力」養成講座』(ディスカヴァー・トゥエンティワン)、『「1秒!」で財務諸表を読む方法』『図解キャッシュフロー経営』(東洋経済新報社)他、100冊以上がある。

※次回は、7月5日(水)掲載予定です。

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小宮一慶

小宮一慶(こみや・かずよし)
経営コンサルタント 株式会社小宮コンサルタンツ代表取締役会長CEO 10数社の非常勤取締役や監査役、顧問も務める。 1957年大阪府堺市生まれ。京都大学法学部を卒業し、東京銀行に入行。84年から2年間米国ダートマス大学経営大学院に留学し、MBA取得。 帰国後、同行で経営戦略情報システムやM&Aに携わったのち、岡本アソシエイツ取締役に転じ、国際コンサルティングにあたる。 その間の93年初夏には、カンボジアPKOに国際選挙監視員として参加。 94年5月からは日本福祉サービス(現セントケア・ホールディング)企画部長として在宅介護の問題に取り組む。96年に小宮コンサルタンツを設立し、現在に至る。2014年より、名古屋大学客員教授。 著書に『社長の教科書』『ドラッカーが「マネジメント」でいちばん伝えたかったこと。』(ダイヤモンド社)、『どんな時代もサバイバルする会社の「社長力」養成講座』『ビジネスマンのための「発見力」養成講座』『ビジネスマンのための「数字力」養成講座』『ビジネスマンのための「読書力」養成講座』(ディスカヴァー・トゥエンティワン)、『「1秒!」で財務諸表を読む方法』『図解キャッシュフロー経営』(東洋経済新報社)他、100冊以上がある。


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