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香山リカの「こころの復興」で大切なこと
【第14回】 2011年7月29日
著者・コラム紹介バックナンバー
香山リカ [精神科医、立教大学現代心理学部教授]

東日本大震災で明らかになった
多くの日本人が望む善意の形

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生活に困っている人も義援金を出した震災後の被災者支援

 欧米には、昔から「ノーブレス・オブリージュ(富や権力には責任が伴う)」という言葉があります。チャリティーは裕福な貴族や王室の義務という考え方です。

 つまり、欧米人には「余裕のある人たちが困っている人たちに対して慈善の精神でチャリティーを行う」という精神が脈々と受け継がれているのです。

 一方、日本人の基本的な善意のあり方は、落語の世界で表現されてきた「長屋の助け合い」だと私は思います。

 裕福な人や身分の高い人が貧しい人や弱い立場の人に「施す」という善意よりも、むしろ、困っている人同士が助け合うという考え方です。

 その考えが如実に表れたのが、東日本大震災後の被災地への支援です。

 日本でも、ソフトバンクの孫正義社長が100億円、ファーストリテイリングの柳井正会長が10億円の義援金拠出を表明するなど、スケールの大きな「欧米型」の善意も多く見られました。

 しかし、それほど余裕があるとは言えない多くの人々がこぞって募金を行い、さらには生活保護を受けている人やアルバイトで糊口をしのいでいる人が、ギリギリの生活のなかから義援金をしぼり出すという姿が多く見られました。

 善意だからと言っても、ただでさえ苦しい生活がさらに厳しくなることは目に見えています。

 「あなたもたいへんなのだから、気持ちだけでいいと思いますよ」

 そんな言葉をかけられても、彼ら、彼女たちはこう言います。

 「自分が困っているからこそ、被災地で困っている人の辛い気持がわかるんです」

 おそらく統計には表れてこないと思いますが、今回の大震災における日本人の草の根的な支援者の広がりは、世界に誇れるものだと思います。

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香山リカ [精神科医、立教大学現代心理学部教授]

1960年北海道札幌市生まれ。東京医科大学卒業。豊富な臨床経験を生かし、現代人の心の問題のほか、政治・社会評論、サブカルチャー批評など幅広いジャンルで活躍する。著書に『しがみつかない生き方』『親子という病』など多数。


香山リカの「こころの復興」で大切なこと

震災によって多くの人が衝撃的な体験をし、その傷はいまだ癒されていない。いまなお不安感に苛まれている人。余震や原発事故処理の経過などに神経を尖らせている人。無気力感が続いている人。また、普段以上に張り切っている人。その反応はまちまちだが、現実をはるかに超えた経験をしたことで、多く人が異常事態への反応を示しているのではないだろうか。この連載では、精神科医の香山リカさんが、「こころの異変」にどのように対応し「こころの復興」の上で大切なことは何かについて語る。

「香山リカの「こころの復興」で大切なこと」

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