精神科医が勧める“スランプ脱出”のシンプルな技術
誰しも悩みや不安は尽きないもの。寝る前にイヤなことを思い出して、眠れなくなるなんてことも……。そんなときの助けになるのが、『精神科医Tomyが教える 40代を後悔せず生きる言葉』(ダイヤモンド社)など、33万部突破シリーズの原点となった『精神科医Tomyが教える 1秒で不安が吹き飛ぶ言葉』(ダイヤモンド社)だ。ゲイのカミングアウト、パートナーとの死別、うつ病の発症……苦しんだ末にたどり着いた、自分らしさに裏づけられた説得力ある言葉。心が落ち込んだとき、そっと優しい言葉を授けてくれる“言葉の精神安定剤”で、気分はスッキリ、今日一日がラクになる!

うまくいかない時こそ、一度やめてみる
今日は、「うまくいかないときこそ、一度やめてみることが大事」というお話をしたいと思います。
よく睡眠に関する相談を受けますが、これはあくまで一例として聞いてください。人それぞれに合ったやり方があるので、万人に当てはまる方法ではありません。
睡眠薬の処方をする前に、まず「睡眠衛生指導」と呼ばれる生活習慣の見直しを行うのが基本とされています(注:睡眠衛生指導は医師の指示に従ってください)。たとえば、「寝つきが悪い」と悩む人の中には、「眠る時間を増やせばいい」と思って、どんどん早い時間に布団に入ろうとするケースがあります。
しかし、それが逆効果になることもあるのです。そうした方には、あえて「30分~1時間ほど就寝時間を遅らせてみてください」と指導することもあります。
寝る時間を遅らせると、なぜ良くなるのか?
「寝る時間を遅らせたら、もっと眠れなくなるのでは?」と思われるかもしれません。けれども、起きている時間が長くなる分、眠気が強まり、かえってすんなり眠れることがあります。
また、睡眠時間が短くなったことで、睡眠の質が上がる(深く眠れる)こともあります。結果的に「スッキリ起きられるようになった」「寝付きが良くなった」といった変化が見られるのです。
まさに「押してダメなら引いてみろ」という考え方ですね。
睡眠以外にも応用できる考え方
この「一度やめてみる」という方法は、睡眠以外にも応用できます。たとえば、私自身、原稿を書いているときに「どうも今日はうまくいかないな」と思うことがあります。
そんなときは、無理に書き続けるのではなく、思い切って「3日間まったく書かない」と決めてしまうことがあります。
やらないことで、かえって力が湧いてくる
「書きたいけど、絶対に書かない」と決めていると、不思議なもので、いろいろなアイデアが浮かんできます。そして、いざ再開すると、「書きたくてしょうがない」状態になっていて、スラスラと筆が進むこともあるのです。
ですから、「スランプかもしれない」「頑張っているのに成果が出ない」と感じたときは、あえて一度完全に手を止めてみることをオススメします。
「中断」もまた、前進の一つ
人間のモチベーションは、がんばって出すものではなく、抑えられたときに逆に湧いてくることもあります。だからこそ、影響のない範囲で一時的に中断してみることで、再スタートしたときに、勢いよく取り組めることがあるのです。
「どうもうまくいかないな」と感じたときは、ぜひ「一度完全にやめてみる」という方法を試してみてください。きっと、新たな流れが生まれてくるかもしれません。
※本稿は『精神科医Tomyが教える 1秒で不安が吹き飛ぶ言葉』(ダイヤモンド社)の著者による特別原稿です。