7月20日、ソフトバンク本社で孫正義社長にインタビューを行ないました。約1時間20分にわたるなか、孫社長の発する言葉は、小誌記者の予想を超えた力強いものでした。

 孫社長は自治体の知事と組み、800億円を投じ20万キロワットの太陽光パネルを並べるメガソーラー計画をぶちあげています。そこで次のような質問を投げかけました。

「自治体と組んで大規模な土地を確保し、バーゲニングパワーを発揮して(有利に交渉し)中国製の安いパネルを買い叩き、来年4月にも始まる見込みの固定価格全量買い取り制度を利用して、ぼろ儲けするのではないか?」

 孫氏はそれを明確に否定しました。営業利益約6000億円を稼ぐ上場企業の経営者としては、赤字か、出ても数十億の利益の事業には興味がないといった具合にです。

 それでは、真の狙いはどこにあるのでしょうか。それは「電力維新」ともいうべき、電力事業を核とした新しい時代への旗揚げにあります。孫社長は「自然エネルギーといえば株価は下がるし、社員からも『帰ってきて-』と言われるんですよ」と打ち明けました。それでも「命がけでやっている」という電力維新の構想を目を輝かせて話すのでした。

 (内容は6ページにわたり小誌で余すところなくご紹介します。インタビューに至る経緯は、孫社長との“ツイッター・アポ”から生まれた「太陽光ビジネス」の緊急特集にて詳報しています)

 東日本大震災の後、日本は原子力発電所の事故と電力不足に見舞われました。そこで、自然エネルギー、とりわけ太陽光が脚光を浴びています。現在、国会審議中の法案が成立すれば、全量買い取り制度が導入されます。これは、電力会社が決まった期間、決まった値段で発電した電力をすべて買い取る制度です。この制度が引き金となり、ビルやショッピングモールを中心に、太陽光発電市場が爆発的に拡大することになります。

 すでにその前兆ともいうべき動きが各地で出ています。

 ――太陽光発電で1100万円を生む荒れ地、「太陽光」の3文字を掲げ173万票で当選した神奈川県知事、2ヵ月で完売した太陽光による売電マンション、前年同月比1.6倍になった太陽光パネルの6月の購入量――。太陽光の中心にいる人々はバブルを予感しています。

 今号では、こうした太陽光がもたらす市場の爆発的な普及を予想するとともに、日の丸太陽光メーカーが苦境に立たされる現状を示します。バブルという言葉の通り、制度の危うさも、すでにバブルが崩壊したスペインの例を基に分析します。

 実際にパネルを取り付けようと考えている家庭は必読です。パネルと販売業者を徹底比較し、実際に取り付けた家庭も訪ねました。売電すれば初期費用を回収するだけでなく、投資利回りが7.9%にもなることがわかりました。

 まさに日本でも「太陽の時代」を迎えたといっていいでしょう。孫社長のみならず、太陽光にまつわる著名人のインタビューも多く盛り込みました。その恵みは「早いもの勝ち」である全量買い取り制度によってもたらされます。新時代に実る果実の正体を知り、一足早くもぎ取る術をお伝えします。

(『週刊ダイヤモンド』編集部 小島健志)