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“ネット寺院”はただの駆け込み寺にあらず!
時代の節目に浮かび上がる「新しい仏教の形」

筒井健二
2011年8月4日
著者・コラム紹介バックナンバー
体験座禅、茶道教室など、ずいぶん敷居が低くなった感のある仏教の世界。京都・奈良の有名どころだけでなく、近所のお寺の成り立ちなど身近なところから“ググって”みては?

 東日本大震災以降、自宅でもオフィスでも心休まるときがない。常に圧迫感がある。ドキドキ・イライラが止まらない。不意に涙が流れてくる──そんな症状を訴えて、専門医に相談する人が急増しているという。

 地震や津波、原発事故の被害を直接被った地域のみならず、震災の傷跡は深く、広範囲にわたる。精神的な意味での回復には、物理的なそれと同等、またはそれ以上の時間が必要だろう。

 癒えるのに時間がかかるその傷を治すため、いや、受け入れるために、仏教が注目されている。先祖供養のための仏教ではなく、いまを生きる人たちが健全で心健やかであるよう、仏教の魅力をわかりやすく伝える若い僧侶たちがいる。

 松本圭介氏は、光明寺(東京都)に所属する浄土真宗本願寺派の僧侶。今春、南インドのハイデラバードにあるIndian School of BusinessにてMBAを取得した。

 同氏が開設したブログサイト「彼岸寺」は、“宗派を超えた仏教徒や普通の人たちが新しい時代の仏教について考え、行動をする「インターネット上のお寺」だ。

 Twitterアカウント宛てに寄せられた素朴な疑問──「現代人にとっての極楽浄土とは?」「仏教にはオーラという概念はありますか?」といった問いかけに答えたり、各寺院の住職による連載コラム、お気に入りの僧侶を見つける「仏教人データベース」、正しい坐禅のやり方や心構えを学べるiPhoneアプリ「ソーシャル坐禅アプリ『雲堂』」まで展開。仏教界における新しいメディアと言えよう。

 おもえば仏教は、時代の変わり目に劇的な変化を遂げてきた。戦乱期における鎌倉仏教の勃興、飢饉からの精神的救済、明治維新後の廃仏毀釈など、法が定めたから教えが変わるのではなく、時代が、そしてその時代に生きる人々が拠り所を求めた結果、今日の仏教が存在している。

 対面で教えを説く説法から始まり、経典という目に見える形で教えを伝え、いまや書籍、SNSやTwitterなどのリアルタイムウェブツールまで、止まることのない仏教の形態変化は、現代に生きる我々にどのような影響を及ぼすのだろうか。

 「彼岸寺」や在籍・協力する多くの僧侶たちは、昔に比べて身近な存在ではなくなったとされる仏教が、現代の私たちの生活においてどのような存在なのか、あるとすればどのような影響を及ぼすのかを考える、1つのきっかけとなる。

 布教と言っても、信者を増やすことだけが目的ではない。人々の心を安らかに定め、人々の平穏を実現するための手段が仏教なのだ。ウェブツールを用いた仏教のあり方は、その入り口を寺院や地域、伝統ではなく、「人」に定めた新しいムーブメントだと言えよう。

(筒井健二/5時から作家塾(R)


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