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山崎元のマネー経済の歩き方

通貨選択型投信に「さよなら」を

山崎 元 [経済評論家・楽天証券経済研究所客員研究員]
【第189回】 2011年8月8日
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 タイトルに「さよなら」と付けたものの、通貨選択型投資信託はブームの真っ最中だ。しかし、筆者は、正しい理解を持たない顧客が多く買っていることを思うと、この種の商品を制度的に規制してもいいとさえ思っている。投資家は相手にしないのがいちばんいい。

 通貨選択型投信は、たとえば米国の高利回り債券への投資に加えて、米ドルをたとえばブラジルレアルのような高金利通貨に変換する契約(NDF)を組み合わせて、分配原資を多額に確保し、1万円の投資元本に対して毎月100円を超すような高額の分配金を支払う。仕組みは、本誌7月23日号の「為替投資入門」特集に詳しい。

 通貨選択型の本質は「分配金のための、投資と投機の融合」だ。投資と投機の融合とは、もちろん皮肉だ。たとえば米国のハイイールド債(信用リスクの大きな高利回り債券)を買うことは、リスクを取ってビジネスに資本を供給する意味でまさしく「投資」だが、投資対象資産になんの関係もないブラジルレアルの為替リスクはゼロサムゲーム的な「投機」のリスクだ。運用の内実は、米国ハイイールド債などへの投資に、レバレッジが低くてかつ売買の機動性を欠くFX(外国為替証拠金取引)を組み合わせたものに近い、不細工なものだ。付け加えると、購入手数料が3%台、信託報酬もトータルで1%台後半から2%前後と株式で運用する投信並みに高い。リスクとコストの塊である。

 過去、オーストラリアの債券に投資する場合に豪ドルの為替リスクがあるというような、ある程度の必然性を伴った為替リスクのある商品はあったが、米国債券への投資にブラジルレアルのリスクを付け加えるような、無関係な為替リスクの付加はこれまでなかった。これは、「一線を越えた商品」だ。

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山崎 元 [経済評論家・楽天証券経済研究所客員研究員]

58年北海道生まれ。81年東京大学経済学部卒。三菱商事、野村投信、住友信託銀行、メリルリンチ証券、山一證券、UFJ総研など12社を経て、現在、楽天証券経済研究所客員研究員、マイベンチマーク代表取締役。


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12社を渡り歩いた資産運用の現場に一貫して携わってきた視点から、「資産運用」の方法をどう考えるべきか懇切丁寧に説く。投資家にもわかりやすい投資の考え方を伝授。

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