出光経営陣が繰り出した公募増資という“妙手”、創業家は窮地へ

 1年間続いた出光創業家と経営陣のゴタゴタが、最終局面を迎えている。

 2016年6月に行われた出光興産の定期株主総会で、出光創業家がシェア3位の昭和シェル石油との合併に反対の意向を公にして以来、出光経営陣は、大株主である創業家の承認を得るために対話と説得を続けてきた。

 だが、一時は創業家との面談の機会さえも設けられないほど説得は難航。創業家と関連団体が合計33.92%の株式を保有しており、合併の承認を諮る臨時株主総会も合併承認議案の否決が目に見えているため開催できず、経営陣は当初の17年4月という合併新会社発足もずるずると延期せざるを得ない事態となっていた。

 そんな中、17年6月末の定期株主総会が終わった直後の7月3日、経営陣は公募増資により約1400億円の資金調達をすると発表。調達した資金は、合併に向けて16年12月に英蘭ロイヤル・ダッチ・シェルから取得した昭シェル株式の取得資金返済や、今年4月に工事が完了したベトナムのニソン製油所に関する投融資、有機EL事業の設備投資などに使う予定だ。