倒産の負債を継承する必要はありませんでしたし、先代社長の息子さんは事業を継ぐつもりはなかったため、幸いミシンや材料を安く買い上げることができました。お客様から「ブランドをなくさないでほしい」という声を次々にいただいたことも後押しして、ベルガードを継承しようと決意しました。

―どのように事業を立て直した?

 まずは、OEMを最小限に削りました。うちのような規模のメーカーは100%OEM、要は下請け専門という会社も多く、大手メーカーが海外に生産拠点を移した際に、軒並み倒産していったのを目の当たりにしていました。OEMは製造側の取り分が2割程度と薄利で、相当量を生産しないと割に合わないんです。会社を継承後は私と3人の職人のみに規模を縮小したので、大手メーカーからの依頼にはボリューム的にも応えることが難しいという理由もありました。ただ、審判用の防具など、国内ではほぼうちしか作っていないようなものは、一部受注を続けています。

 もう1つは利益率の良い自社ブランド、とくに防具の強化です。倒産後に生き残れたのも、うちの防具のファンがいてくれたからこそで、防具の技術は国内屈指。今や大手メーカーの野球用具はほぼ海外製ですから、それに対抗するには、高い技術と材料にこだわって作る“メイドインジャパン”の防具に特化するしかない、と思いました。

 基本的には半製品でストックしておき、注文が来たら作るという「受注生産」体制。注文から納品まで約2週間、特注だと1ヵ月いただく。「軽量」と「耐久性」を兼ね備えているのが特徴で、メジャーリーガーからも「他の防具より格段に軽くて動きやすい」と評価してもらっています。

 職人の数が少ないので、大量には受注できませんし、「うちの商品をどうしても使いたい人に」というのが基本スタンス。値段も少々強気に提示していますが、業績は順調に推移しています。

 今年のWBC(ワールド・ベースボール・クラシック。野球の国・地域別対抗戦)でメジャーリーガーたちが使ってくれたおかげで、国内のアマチュア球団から多くの発注をいただきました。