米イージス艦衝突事故の原因究明が1ヵ月経っても進まない理由事故後、7月11日に横須賀基地に戻ったイージス駆逐艦「フィッツジェラルド」 Photo:U.S.Navy

 6月17日午前1時30分頃、伊豆半島南端の石廊崎の東南沖約20kmの日本領海内で、米海軍のイージス駆逐艦「フィッツジェラルド」(約8300t)が、日本郵船が雇っているフィリピン船籍のコンテナ船「ACXクリスタル」(約2万9000t・乗員20人もフィリピン人)と衝突した。

 米艦は艦橋下の右舷と水線下に重大な損傷を受け、乗員7人が死亡、艦長ブライス・ベンソン中佐ら3人が負傷した。

 この事故発生後1ヵ月たっても米海軍も海上保安庁も、事故直前の双方の動きなどを公表せず、原因の究明が進んでいない。米艦側の調査を米軍などにゆだねざるを得ない状況だからで、真相がどこまで明らかにされるのかは不透明だ。

軍艦は他国の司法権、行政権を
受けない慣行が調査の壁に

 7月16日付けの毎日新聞朝刊によれば、米第7艦隊の広報士官は「米海軍は海難事故調査を主導する米沿岸警備隊と協力し調査をしており、沿岸警備隊を通じて、日本、フィリピン当局に協力している」と語った。