私が「最強のアスリート親父」を目指す理由(前編)

スポーツ&ウェルネスなライフスタイルを満喫するトップバッターはヨットマン。出身地、静岡の海から始まった趣味がやがて世界でもトップクラスに。

植松眞 / MAKOTO UEMATSU
株式会社トーヨーアサノ代表取締役会長。静岡県生まれ。18歳でヨットと出会い、25歳で公式ヨットレースに初参戦。2006年、ヨットクラブの名門、ニューヨーク・ヨットクラブの会員に認定される。これまでにマラソンや自転車にも挑戦。ゴルフは現役。

ヨットのオーナーにして自らも舵をとる

「ヨットの魅力は、大好きな海を舞台にしてレースができること。さらに勝てたときには、快感がターボチャージャーのごとくグングンとアップする。その醍醐味を一度味わったら、やめられません」

 植松眞さんが48年のヨット歴のうち40年以上、打ち込んでいるのが外洋ヨットレース。国内外の主要なレースに参戦し、サンフランシスコで行われたビッグボートシリーズを始め、数多くの優勝を経験した。オーナーとしてヨットを作る段階からかかわり、クルーを組織し、自らも舵をとる。ここまでやるのは珍しいとされる。

自宅にはヨットにまつわるハイセンスなメモラビリアが数 多く飾られている。人生の要所要所でさまざまな思い出が。

「たとえばある年に行われるレースのいくつかに出ようと決めたら、約2年前から準備をします。。ボートマネージャーと契約し、どんなヨットを作るか相談して造船所に発注。同時にクルーも選びます」

 植松さんのチームメンバーには、世界的に有名なスキッパー(舵取り役)のケン・リードをはじめ、伝説のトリマー(セールの調整を行う役目)と呼ばれるロビー・ナイスミスなど、ヨット界のレジェントがしばしば名前を連ねている。

「北米選手権で5回優勝、世界選手権で6回優勝の戦績をもつケン・リードは、私がヨットを始めて間もない20代の頃からの知り合いでした。私が30を過ぎて、あるレースに臨もうとしていた時に、彼が“その船に僕も乗せてよ”と言ってきたのです。当時(80年代)駆け出しだった彼のギャランティは10日間で400ドル。それが今では1日4000ドルです」