県知事を筆頭に「クリエイティブの発信源」目指す~群馬県編~前橋の街並みを一望する群馬県庁32階の展望ホールにて。右から、知事戦略部戦略企画課総合計画・EBPM推進室計画・EBPM係・宮下裕輔係長/同清水秀憲主任/産業経済部戦略セールス局eスポーツ・クリエイティブ推進課eスポーツ係・小林実主任/同クリエイティブ人材係・岡部悠希主事

企業版ふるさと納税(地方創生応援税制)を活用し、eスポーツを盛り上げるサードウェーブ。今回はeスポーツに取り組む群馬県のデジタル人材育成とブランド力向上効果を追う。

 群馬県は2020年、全国の自治体で唯一「eスポーツ」と名の付く専門部署「eスポーツ・新コンテンツ創出課」(現eスポーツ・クリエイティブ推進課)を設置した。

 eスポーツ・クリエイティブ推進課の小林実主任は、そのいきさつをこう説明する。「本県の山本一太知事が、eスポーツの集客力の高さと若者への訴求力の大きさに着目したことがきっかけです」。実際、県のeスポーツに対する取り組みは積極的で、19歳以下の国内最強を決定する大会「U19eスポーツ選手権」、実況のプロを目指す人の登竜門「全日本eスポーツ実況王決定戦」を開催。また、県内企業などの交流を目的とした「GUNMA LEAGUE(群馬県企業等対抗社会人eスポーツリーグ)」を立ち上げた他、シニアや障がい者eスポーツなどの支援を行っている。

県知事を筆頭に「クリエイティブの発信源」目指す~群馬県編~世代間・地域間交流を目的に、2024年3月に開催された「ぐんまeスポーツフェスタ」は大盛況

 こうした取り組みは、県のブランド力向上に加え、「将来的には、eスポーツ関連産業の振興やクリエイティブ人材・デジタル人材の育成にも寄与すると考えている」(小林主任)と期待している。

 eスポーツプレーヤーやクリエイティブ人材育成に不可欠なのが、誰でもパソコンに触れられるデジタル環境整備だ。群馬県はこの部分に「企業版ふるさと納税」の寄付金を活用。例えば22年度はサードウェーブからの寄付金を活用して、高校生らが主催するイベントを支援する制度を創設したことで、高校生によるeスポーツ大会が開催されたという。

子どもの才能を伸ばす
群馬県独自の取り組み

 山本知事は近未来構想の一つとして「クリエイティブの発信源」を掲げている。同課の岡部悠希主事は、「発信源になるために、県内の人材育成と県外の人材誘致の両軸で進めていく」と話す。人材育成の先進的な取り組みで目を引くのが、前橋駅前に開設した若年のデジタルクリエイティブ人材育成拠点「tsukurun(つくるん)」。小中高生という若い段階から、最先端のデジタル機材やソフトウエアで創作活動を行うことのできる全国の自治体で初の施設だ。

県知事を筆頭に「クリエイティブの発信源」目指す~群馬県編~前橋駅前の「tsukurun」では、最先端のデジタル機材を自由に使い、創作活動ができる

「ここは自分が創りたいものを自由に創る場所。自由に機材に触れ、時に仲間同士で教え合い、遊ぶように創る。分からないことはティーチングスタッフがサポートします」(岡部主事)

 寄付金はまた、県の競争力を高める施策にも使われている。戦略企画課の清水秀憲主任は、「17年度から企業の皆さまの寄付を頂いて、地方創生事業を推進しています。eスポーツやデジタル教育環境整備のような新たな価値を生む取り組みの他にも、県内製造業の競争力強化のためにスマートファクトリー化支援、学生の県内就職支援実施など寄付金を活用した本県が持続的に発展していく取り組みを実施しています」。群馬県では、企業版ふるさと納税の他にも、さまざまな角度から地方創生の取り組みを実施し、県外へ魅力を発信。その結果、有力企業の拠点進出や、23年移住希望地ランキング※で全国2位(前年は9位)への躍進、といった成果が出てきている。

「それは本県の多彩なプロジェクトに企業や県外の多くの方々が興味を示していただいた結果です」と同課の宮下裕輔係長。今後、県としてはサードウェーブが蓄積してきたeスポーツ運営ノウハウや自治体支援の知見の提供に期待を懸ける。

※ふるさと回帰支援センター調べ

●問い合わせ先
株式会社サードウェーブ
〒101-0021 東京都千代田区外神田3-12-8 住友不動産秋葉原ビル
TEL:03-5294-6323(代表)
https://info.twave.co.jp/