ダイヤモンド社のビジネス情報サイト
莫邦富の中国ビジネスおどろき新発見

新疆ウイグルと五島列島の某ホテル
サービスの質が良いのはどちらか?

莫 邦富 [作家・ジャーナリスト]
【第66回】 2011年8月18日
著者・コラム紹介バックナンバー
1
nextpage

 日本の大手銀行を最近辞め、毎日が日曜日という生活を楽しんでいる友人S氏がいる。彼はお盆休みを利用して中国の新疆ウイグル自治区を旅している。ウルムチ市やトルファンを回るレポートを、インターネットを通じて送ってくれている。

 新疆は何かと物騒なニュースが流れているが、現地を訪れたS氏によると、ウルムチに関しては特に問題は無いように感じられるという。13日にトルファンを訪問した際は行きと帰りに車のチェックなどを受けたが、とても緩やかだったし、空港や市内でも「荷物検査」と書かれた場所はあることはあるが、実におざなりなチェックだったそうだ。

 S氏が問題にしているのは治安問題よりも泊まっているホテルの通信事情のほうだった。「ホテルは外見上はそこそこ立派だが、残念ながらソフト面が今一つでトラブルが続出」。例えば、最初の晩に泊まった部屋ではインターネット接続サービスはあったもののケーブルがなく、ひと騒動した。最終的には警備のおばさんが、事務所のPCからケーブルを抜いて持ってきてくれた。2日目に変わった部屋は、ネット環境さえなく、最後はマネージャーがフロントのPCを使わせてくれたという。

 この批判を読んで、私は感慨深いものを感じた。中国の辺境の地に行っても、日本人は当然のようにインターネット環境を求めている。いや、日本人だけでなく、中国人の客たちも同じようにそれを求めている。インターネットのユーザー数が2010年末の時点で4億5700万人に達した中国では、これは当然のことと見ていいだろう。

 さて、同じ8月、私は日本の「辺境」といってもいい土地を訪れた。長崎県の五島列島だ。インバウンド観光関連の取材のための旅だったが、宿泊先は地元で最高級といわれるCホテルだった。

 チェックイン早々、私は面食らった。なんとこのホテルでは、宿泊客用のインターネット環境が整備されていない。客室にインターネットがなくても、ロビーには無線LANが用意されているのだろうと思って確かめると「そんなものはありません」との一言だった。

 ネットインフラが整備されていないことにも絶句したが、何よりもその態度の冷たさとサービス精神のなさに驚いた。2度と泊まるものかと内心ではすでに怒り心頭だったが、案内役の県観光連盟の関係者が顔を赤らめるほどに狼狽していたのでそこは紳士的な態度を見せないと、と自戒しつつ次の質問に話題を変えた。

1
nextpage
関連記事
スペシャル・インフォメーションPR
クチコミ・コメント

DOL PREMIUM

PR

経営戦略最新記事» トップページを見る

最新ビジネスニュース

Reuters

注目のトピックスPR

話題の記事

莫邦富(モー・バンフ) [作家・ジャーナリスト]

1953年、上海市生まれ。85年に来日。『蛇頭』、『「中国全省を読む」事典』、翻訳書『ノーと言える中国』がベストセラーに。そのほかにも『日中はなぜわかり合えないのか』、『これは私が愛した日本なのか』、『新華僑』、『鯛と羊』など著書多数。


莫邦富の中国ビジネスおどろき新発見

地方都市の勃興、ものづくりの精度向上、環境や社会貢献への関心の高まり…中国は今大きく変わりつつある。先入観を引きずったままだと、日本企業はどんどん中国市場から脱落しかねない。色眼鏡を外し、中国ビジネスの変化に改めて目を凝らす必要がある。道案内人は日中を行き来する中国人作家・ジャーナリストの莫邦富氏。日本ではあまり報道されない「今は小さくとも大きな潮流となりうる」新発見を毎週お届けしよう。

「莫邦富の中国ビジネスおどろき新発見」

⇒バックナンバー一覧