ダイヤモンド社のビジネス情報サイト
今週のキーワード 真壁昭夫

世界大恐慌とソブリン危機の「不気味な符合」
小手先の弥縫策が欧米リスクを加速させる可能性

真壁昭夫 [信州大学教授]
【第189回】 2011年8月23日
著者・コラム紹介バックナンバー
1
nextpage

「世界大恐慌」の再来を防げ!
小手先の弥縫策で欧米リスクは解消しない

 足もとの欧米の金融市場は、まだ不安定な展開から脱し切れていない。基軸通貨であるドルの下落は続いており、世界的に株式市場は振れ幅の大きな相場動向になっている。

 この背景には、不動産バブルの後始末が続いている、欧米経済の先行きが不透明であることに加えて、本来解決策を見つけなければならない政治の機能が低下していることがある。

 8月上旬からEUは、スペインやイタリアなど国債を大規模に買い支えるオペレーションは開始した。しかし、それは単に当該国債の価格下落を止める手段であって、ソブリンリスク問題そのものを解決するものでではない。

 あるいは、米国の約2兆4000億ドルの歳出削減プランも、とりあえず与野党の合意を形成して、最悪の事態=デフォルトを回避するための方策だ。今後、超党派の会議で議論される1兆5000億ドルの歳入削減がまとまらなければ、いずれ米国の財政悪化の問題が蒸し返されることは避けられない。

 こうした小手先の弥縫策で、欧米諸国が抱えている問題を本格的に解きほぐすことはできない。

 もう1つ心配なことは、これから米国のティーパーティー(茶会派)が主張するような性急な歳出削減を実施すると、世界経済そのものの腰を折ってしまう可能性があることだ。

 1930年代の大恐慌当時を振り返ると、1932年に急落した株価は37年にかけて値を戻した。それを見て、財政支出の削減を急いだこともあり、38年にかけて再び株価は急落した。

 当時と今とでは、資本の蓄積や資本市場の規模・経済に対する影響はケタ違いだ。今回は、そうした事態の発生は何としてでも防がなければならない。弥縫策では問題の解決にはならない。

1
nextpage
関連記事
スペシャル・インフォメーションPR
クチコミ・コメント

DOL PREMIUM

PR
【デジタル変革の現場】

企業のデジタル変革
最先端レポート

先進企業が取り組むデジタル・トランスフォーメーションと、それを支えるITとは。

経営戦略最新記事» トップページを見る

最新ビジネスニュース

Reuters

注目のトピックスPR

話題の記事

真壁昭夫 [信州大学教授]

1953年神奈川県生まれ。一橋大学商学部卒業後、第一勧業銀行(現みずほ銀行)入行。ロンドン大学経営学部大学院卒業後、メリル・リンチ社ニューヨーク本社出向。みずほ総研主席研究員などを経て現職に。著書は「下流にならない生き方」「行動ファイナンスの実践」「はじめての金融工学」など多数。


今週のキーワード 真壁昭夫

経済・ビジネス・社会現象……。いま世の中で話題となっているトピックス、注目すべきイノベーションなどに対して、「キーワード」という視点で解説していきます。

「今週のキーワード 真壁昭夫」

⇒バックナンバー一覧