
デジタル化や脱炭素の潮流が加速し、物価高の影響も続く。足元ではトランプ関税も、企業にとって大きな試練となりそうだ。本連載では、上場企業が発表した直近四半期の決算における売上高を前年同期と比べ、各業界の主要企業が置かれた状況を分析する。今回はキヤノン、ニコンなどの「カメラ/光学/複合機」業界4社について解説する。(ダイヤモンド編集部 大根田康介)
HOYAが2ケタ増収
ニコンは通期で利益減
企業の決算データを基に「直近四半期の業績」に焦点を当て、前年同期比の増収率を算出した。対象とするのは以下のカメラ/光学/複合機業界4社で、対象期間は2025年1~3月期の四半期である。
各社の増収率は、以下の通りだった。
・キヤノン
増収率:7.1%(四半期の売上高1兆583億円)
・ニコン
増収率:7.6%(四半期の売上高2026億円)
・HOYA
増収率:10.1%(四半期の売上高2167億円)
・富士フイルムホールディングス(HD)
増収率:7.8%(四半期の売上高8683億円)
カメラ/光学/複合機業界の四半期増収率を見ると、HOYAが2ケタ増収を果たした。同社の1~3月の営業利益は前年同期比24%増と大きく増加した。
富士フイルムHDは1~3月期の売上高、営業利益は過去最高を更新した。キヤノンも四半期売上高は過去最高、営業利益率もここ10年で一番高い水準となった。
ニコンについては、四半期売上高は増収となったものの、通期で見ると利益を大幅に減らしてしまった。3社が好調な一方で1社だけ苦戦している理由、またニコンが26年3月期にどの程度復活するのかについて、次ページ以降で詳しく解説する。