東芝に迫る上場廃止の危機、新旧監査法人の対立全内幕東芝は10日の有価証券報告書提出期限までに監査意見を得る方針だ Photo:REUTERS/AFLO

 東芝の2017年3月期決算に対し、監査を担当するPwCあらた監査法人が“NO”を突き付けようとしている。8月10日までに判断が下されそうで、上場廃止の危機が、いよいよ現実味を帯びている。(週刊ダイヤモンド編集部 千本木啓文、本誌委嘱記者 村井令二)

「昨年の決算に間違いは絶対ない」。7月26日、東京・芝浦の東芝本社で開かれた取締役評議会に、異例の出席者の姿があった。東芝の監査を2016年3月期まで担当した新日本監査法人の辻幸一理事長と、米原子力子会社、ウエスチングハウス(WH)を監査したアーンスト&ヤング日本法人のスコット・ハリデー代表だ。

 辻理事長らが語気を強めたのは、16年3月期の監査の正当性。現在、東芝の監査を担当するPwCあらた監査法人が、その決算の「間違い」を示唆しているため、強い反発を示したのだった。

 東芝は6月23日、同月末が期限だった17年3月期の有価証券報告書の提出を8月10日まで延期した。

 だが、8月に入っても監査の承認が得られるめどが立っていない。東芝とPwCあらたの間で、昨年12月末に公表したWHの巨額損失の計上時期について意見が分かれているためで、「WHの巨額損失をいつ知ったのか」という時期をめぐって見解が対立し、監査の手続きは遅れに遅れている。