AI(人工知能)、IoT(モノのインターネット)時代の鍵を握る半導体をめぐって、巨額のマネーが飛び交っている。専門家に意見を聞きながら、マネーゲームの裏に透ける新たな潮流の深層を読み解いてみたい。
まずは足元の再編の動きから見ていこう。
2017年3月、米国の巨人インテルが自動運転の覇権を狙って、イスラエルの自動運転ソフトウエアメーカー、モービルアイの買収に踏み切った。買収額はモービルアイの売上高の40倍超となる153億ドルに達した。
16年には、スマートフォン向け半導体トップの米クアルコムが半導体史上最高額の470億ドルの巨費を投じ、オランダの半導体大手NXPを買収している。さらにこの年、ソフトバンクグループが英国の半導体設計大手であるアーム・ホールディングスを、日本企業による海外M&Aとしては過去最高額となった3.3兆円で買収し、話題となった。
こうした巨額買収の背景にあるのは、IT・電機業界を巻き込む次代の覇権争いだ。
アップルはバリューチェーンの
垂直統合モデルで覇権を握った
『週刊ダイヤモンド』6月3日号の「三流の東芝 一流の半導体」特集で掲載された下図を見てほしい。