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野口悠紀雄 新しい経済秩序を求めて

「シェアリングエコノミー」に取り残される日本

野口悠紀雄 [早稲田大学ファイナンス総合研究所顧問]
【第23回】 2015年7月30日
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 新しい経済動向として、「シェアリングエコノミーの拡大」ということが言われる。ただし、シェアリング自体は昔からあった。最近生じている変化は、市場情報の不完全性が克服され、需要と供給が結びつきやすくなったことだ。これによってシェアリングが新しい段階に入っている。このような変化を生かせる社会制度の改革が必要だ。

シェアリングの新たな段階
「個人が供給者」になりつつある

 シェアリングエコノミーの例として、ボストンで2000年に創業した世界最大のカーシェアリングサービス「Zipcar」(ジップカー)がしばしば挙げられる。日本でも、同様のサービスとして、「タイムズカープラス」が登場している。サンフランシスコでは、「Bay Area Bike Share」という自転車のシェアリングサービスもある。

 これらは、抽象的に言えば、耐久消費財や資本ストックを「所有するのでなく、複数の人々が利用する」という仕組みだ。こうしたものは、昔からあった。

 その典型例として、ホテルやタクシーがある。これらはシェアリングサービスの一種と考えられる。ただし、こうした古典的シェアリングの場合、供給者はそれを専門的に行う業者であった。

 現在起こりつつある変化は、情報技術の進歩によって、供給者の範囲が個人に広がりつつあることだ。

図表1には、このことを、リゾート地の宿泊施設について図示した。

 まず、Aの「別荘」は、所有する形態だ。それがBの「会員制リゾート」になると、宿泊施設という資本ストックがシェアされることになる。ここでの変化は、「所有から利用へ」だ。Cはホテルであり、Bに比べて契約期間が短期化し、フレキシブルなものになっている。

 Dは、Airbnbなどによるサービスだ。ここでは、供給者が事業者でなく個人になる。スマートフォンのアプリを通じて市場情報の不完全性が克服されたため、供給者の範囲が広がったのである。

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野口悠紀雄 [早稲田大学ファイナンス総合研究所顧問]

1940年東京生まれ。63年東京大学工学部卒業、64年大蔵省入省、72年エール大学Ph.D.(経済学博士号)を取得。一橋大学教授、東京大学教授、スタンフォード大学客員教授、早稲田大学大学院ファイナンス研究科教授などを経て、2011年4月より早稲田大学ファイナンス総合研究所顧問、一橋大学名誉教授。専攻はファイナンス理論、日本経済論。主な著書に『情報の経済理論』『財政危機の構造』『バブルの経済学』『「超」整理法』『金融緩和で日本は破綻する』『虚構のアベノミクス』『期待バブル崩壊』等、最新刊に『仮想通貨革命』がある。野口悠紀雄ホームページ

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野口悠紀雄 新しい経済秩序を求めて

アメリカが金融緩和を終了し、日欧は金融緩和を進める。こうした逆方向の金融政策が、いつまで続くのだろうか? それは何をもたらすか? その先にある新しい経済秩序はどのようなものか? 円安がさらに進むと、所得分配の歪みはさらに拡大することにならないか? 他方で、日本の産業構造の改革は遅々として進まない。新しい経済秩序を実現するには、何が必要か?

「野口悠紀雄 新しい経済秩序を求めて」

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