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システムの「外注」成功の鉄則
【第14回】 2017年8月10日
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細川義洋

「経営者」が本気にならないプロジェクトが泥沼化する理由

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「システムに欠陥が多すぎて使えない!」
「開発や保守・運用費用が高すぎる!」
「なぜか社員が協力してくれない……」
「経営者がシステムのことを全然わかってない……」

ホームページ、ECサイト、Webマーケティングシステム、AI、ビッグデータ、IOTなど、ITシステムが企業の経営を左右する時代。にもかかわらず、ほんの数年前まで、日本のITシステム開発は3分の2が失敗しており、今もなお、システム開発は他のプロジェクトと比べると成功率の低いのが現状です。

そこで、かつてない「発注者のための入門書」として、発売即、第3刷が決まった『システムを「外注」するときに読む本』。本連載では、そのエッセンスを公開。70以上のトラブルプロジェクトを解決に導き、紛争解決率9割を超えた「トラブル解決請負人」が、システム開発プロセスに潜む「地雷」を紹介しながら、成功のポイントを伝えます。

どうすれば、会社が幸せになる「本当に役に立つシステム」が作れるのか?
経営者・CIO・システム担当者・プロジェクトマネージャーの必須知識!

「経営者」にしか決められないことがある

ITシステムを導入する際の条件、つまり「何をクリアできればプロジェクトが成功したと言えるのか?」という一般的な評価軸として、いわゆる「QCD」があります。

【品質=Quality】
【コスト=Cost】
【納期=Delivery】

ユーザが要望した通りのものが、欠陥なく、予定されたコスト内でスケジュール通りに収められたのであれば、それは確かに成功プロジェクトと言えるだろう、ということです。

しかし、ITシステム導入を巡る裁判例を見ていると、「会社としての視点」でシステム導入の成否を判断する際には、QCDとは違う観点が必要になります。

簡単に言えば、「ITシステムの導入によってコスト削減や売上向上に成功し、会社が利益を増やすことができたとき」に、初めて成功と言えるわけです。

当然のことと思われるかもしれませんが、そもそもシステムの企画に誤りがあって、導入しても効果のないシステムを導入したら、いくらQCDを遵守したところで「成功」したことにはなりません。

逆に、大幅に納期が遅れたり、不具合のあるシステムだったとしても、経営に資するならプロジェクトは成功したと言えるのです。

しかし、こういうものの見方や判断、システム担当者レベルは難しいでしょう。

経営者が無関心なプロジェクトは、成功するはずがない

会社全体の利益を考えてITシステムの導入を決め、主要な要件について取捨選択し、プロジェクトの状況によっては損を承知でその中止を命じることができるのは、経営者であり、本当の意味でのCIOだけです。

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    細川義洋(ほそかわ・よしひろ)

    政府CIO補佐官。ITプロセスコンサルタント。元・東京地方裁判所民事調停委員・IT専門委員、東京高等裁判所IT専門委員。

    立教大学経済学部経済学科卒業後、NECソフト株式会社(現NECソリューションイノベータ株式会社)にて金融機関の勘定系システム開発など多くのITプロジェクトに携わる。 その後、日本アイ・ビー・エム株式会社にて、システム開発・運用の品質向上を中心に、 多くのITベンダと発注者企業に対するプロセス改善とプロジェクトマネジメントのコンサルティング業務を担当。 独立後は、プロセス改善やIT紛争の防止に向けたコンサルティングを行なう一方、ITトラブルが法的紛争となった事件の和解調停や裁判の補助を担当する。これまで関わったプロジェクトは70以上。調停委員時代、トラブルを裁判に発展させず解決に導いた確率は9割を超える。システム開発に潜む地雷を知り尽くした「トラブル解決請負人」。2016年より政府CIO補佐官に抜擢され、政府系機関システムのアドバイザー業務に携わる。

    著書に『なぜ、システム開発は必ずモメるのか? 49のトラブルから学ぶプロジェクト管理術』『「IT専門調停委員」が教える モメないプロジェクト管理77の鉄則』(ともに日本実業出版社)、『プロジェクトの失敗はだれのせい?』『成功するシステム開発は裁判に学べ! 』(ともに技術評論社)などがある。


    システムの「外注」成功の鉄則

    「システムの「外注」成功の鉄則」

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