私は自分が何の力もない女の子だという事を知っている。男の、ましてや大人の男にかなうわけがない。今、抵抗をしても、男を怒らせるだけだ。殴られて痛い思いをして、それでもまた、この現実が続行するだけだ。

 ……消えてしまいたかった。“私の現実”ごと消えてしまいたかった。自分が女である事も、自分の無力さも全て、消えてなくなって欲しかった。

 (大塚咲『よわむし』より)

 その後は平気だと自己暗示をかけながら学校に通っていたが、友達と一緒にいても「仲はいいけど1人ぼっち」な感覚を味わい続けた。学校にいると視界に白いモヤのようなものが現れて、現実を現実と受け止められなくなった。

 無邪気に「彼氏との初エッチ」を告白する同級生をうらやましがり、下ネタで盛り上がる日々を送りながらも、被害者になってしまったことで両親に対する罪悪感や、フラッシュバックにも苦しめられた。

「中高一貫の女子校でしたが、ちょうど私が中等部の頃に『コギャルブーム』が来たせいか、文化祭などがあると性的な目的で学校に来る、大人の男性はいたんです。そういうこともあり、痴漢被害に遭う生徒は他にもいましたね」

「でも学校の友達は気の良い子ばかりで、いじめもなく平和な雰囲気でした。だから『なぜ私が狙われたのか』という疑問がありながらも、ずっと『同級生が被害に遭わなくてよかった』とも思っていました。友人たちは、幸せなままでいて欲しいって気持ちが強くて」

 事件現場が学校のすぐ近くだったことで「学校が恐怖を思い出す場所」となってしまい、学校を辞めることが今の自分の心には必要と感じた。

自分の身に起きたことを納得したくて、AV女優

 高校2年生の終わりに自主退学をし、単位制高校に通って高校卒業資格を得たのち、2004年に大塚さんはAV女優となる。それは自身と同じ経験をした仲間を、探し求めていたから。そしてAV業界で一番になることで、過去に起きたことを納得したかったからだ。