老後資金は一体いくら必要なのだろうか。一般的には3000万円程度、時には5000万円~1億円も必要と言われる。しかし、長引いた景気低迷で老後資金の貯蓄ができなかった層が増えており、「もっと老後を安く上げるマネープランはないのか」という声が大きくなっている。ファイナンシャルプランナーの畠中雅子氏が、老後の資金計画について解説する。

1000万円を貯められている世帯は
実はそれほど多くない

 世の中には、老後の生活破綻への恐怖を煽る言説が飛び交っています。

 実際に「老後資金」などのキーワードでネット検索をすると、「最低でも夫婦2人で3000万円程度が必要」とか、「少しゆとりのある暮らしをしたいのなら5000万円ほしい」、「病気などにも備えるなら、1億円はあったほうがいい」といった記事が目につきます。

 もちろん老後資金は多ければ多いほど、老後の生活は安泰になりますが、実際にはそんなに大きな金額を貯金できている「プレ老後世代」は減っているのが現実です。

 金融広報中央委員会の「家計の金融行動に関する世論調査(平成28年)」によれば、世帯主の年齢が50歳代の(金融資産のある)2人以上世帯の金融資産額は、平均値でも1650万円、中央値では1074万円にすぎません。

 しかも、これは金融資産のある世帯だけに限った数字で、貯金などのまったくない世帯を含めれば、平均値で1128万円、中央値は500万円にまで低下します。

 最低でも3000万円は必要と言われているのに、実際には1000万円程度か、それ以下しか貯められていない世帯が多いわけで、「老後貧乏」「下流老人」などのキーワードに敏感になる人が多いのもうなずけます。