残業しないで早く帰りたいが、なかなか仕事が終わらないーー。そういう人はとにかく「仕事の速度」を意識して、生産性を向上させるしかない。コンサルタント、中小企業診断士の井上龍司氏が仕事の効率と生産性を向上させるための「思考整理法」を伝授する。

転換期を迎えた
働き方に関する価値観

 近年、「残業禁止」や「ワークライフバランス」といった言葉が話題になっています。働き方に関する価値観が、大きな転換期を迎えていると言えるでしょう。

 実際、過労自殺という痛ましい事件を起こした電通のように、長時間の残業を是正しない企業は、就活生などから「ブラック企業」のレッテルを貼られ、評判やブランドイメージを悪化させています。

 以前から「ワークライフバランス」という言葉はさかんに叫ばれてきましたが、企業の「ブラック化」が、企業価値の低落や従業員の離反、顧客や売上の流出といった悪影響にまでつながることがようやく理解され、残業の削減に力を入れ始める企業が多くなってきた、というのが実情のようです。

 しかし、ビジネスの現場で従業員個人の生活の充実や、体調管理にも注意がなされるようになってきたのはいいのですが、一方では、ただでさえ人手不足なのに、実働時間の短縮によってさらに仕事が回らなくなっている、というケースが多く発生しています。

 この葛藤を解消する唯一の方法は、言うまでもなく「生産性の向上」です。

 残業抑制の取り組みが一般化し、これまでのように長く働くことによって「いま、そこにある仕事」をこなせなくなったのであれば、時間あたりの成果を今までよりも増やしていくしかありません。