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エコカー大戦争!

トヨタはなぜ得意のハイブリッド技術で
後発のフォードとわざわざ組んだのか?
大いなる謎からひも解く王者の苦悩と成算

桃田健史 [ジャーナリスト]
【第88回】 2011年9月5日
著者・コラム紹介バックナンバー
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 2011年8月21日(日)。デトロイトから南東方向へ100kmほど行ったところにあるミシガンモータースピードウエイ(ミシガン州ブルックリン市)で、米国における最大規模の自動車レースであるNASCARスプリントカップシリーズ第23戦(全36戦)「ミシガン400」が開催された。

 その決勝のスタートを知らせるグリーンフラッグを振ったのは、フォード・モーターのアラン・ムラーリー社長兼CEO(最高経営責任者)だった。

 レースは序盤から中盤にかけて、ポールポジションを取ったグレッグ・ビッフル(フォード)がリード。しかし、結局、終盤でカイル・ブッシュ(トヨタ)が抜け出し、今季4勝目を飾った。

 その翌日の22日(米国東海岸時間)午前11時、デトロイト市街から東へ8kmほど行ったところにあるフォード・リサーチ&デベロップメントセンター(ミシガン州ディアボーン市)において、モータースポーツでしのぎを削ったばかりの2社が記者会見を行った。

 むろん、その内容は、レースには関係ない。

 会見の題目およびその概要(3項目)は、以下の通りである。議論を進める上でもまずは公式見解を知っていただきたく、トヨタ本社の広報発表資料から一部をそのまま抜粋しよう。


フォードとトヨタ、小型トラックとSUV用ハイブリッドシステムの共同開発における協力関係を構築 ―また、次世代テレマティクス分野でも協業

・フォードとトヨタは、お客様の選択肢を広げるべく、小型トラックとSUVの新型ハイブリッドシステムの共同開発に関して対等な協力関係を構築。
・共同開発する新型ハイブリッドシステムは、フォードとトヨタの後輪駆動式(RWD)小型トラック及びSUV向けに、2010年代中を目指して実用化され、低燃費と高性能を両立。
・フォードとトヨタは、次世代テレマティクスサービスの標準化でも協業。


 上記に補足すると、小型トラックとは英語原文ではライトトラックである。商用の大型に対する乗用主体の小型という解釈だ。日本人にとっては大型車であるフォード「F150」などV8エンジン搭載フルサイズピックアップトラックも、じつはこの小型トラックに分類される。

今回の記者発表は、フォード側がグローバルプロダクト開発担当のデレック・キューザック筆頭副社長、トヨタ側は技術担当の内山田竹志副社長が行った。社長ではないのが逆に気になる。Photo:Reuters/AFLO

 さて、今回の発表について、筆者は2つの疑問を持った。その答えさえ分かれば、2社の技術協業の真実に行き着くはずだ。順を追って見て行こう。

<疑問1>なぜ優位であるはずのトヨタが一歩引き、見た目の主役はフォードなのか?

 今回記者会見が行われたディアボーン市は、ほかでもない、フォードの本拠地である。

 トヨタはデトロイト周辺に、開発関連施設のトヨタテクニカルセンター(ミシガン州アナーバー市)を構えているが、開発・企画・営業などの北米拠点の主力施設はすべてカリフォルニア州ロサンゼルスに近いトーランス市に集約している。つまり、今回の記者会見の主役はトヨタではなく、フォードということである。

 また、広報発表資料での名前の順番も改めて見てほしい。横書きで2社を併記する際に、フォードが先、トヨタが後だ。ハイブリッド分野での実績から考えれば、本来はトヨタが先に来るはず。この並びは、「対等な協力関係」を明確にするための演出なのだろう。

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桃田健史 [ジャーナリスト]

日米を拠点に世界各国で自動車産業の動向を取材するジャーナリスト。インディ500、NASCARなど米国レースにレーサーとしても参戦。自動車雑誌に多数の連載を持つほか、「Automotive Technology」誌(日経BP社)でBRICs取材、日本テレビでレース中継番組の解説などを務める。1962年生まれ。著書「エコカー世界大戦争の勝者は誰だ?」好評発売中


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