朝日新聞がおかしい。いや何も朝日新聞だけの話ではない。新聞全体がおかしなことになっている。
もはや末期症状である。これまで通りに現状判断能力の欠如だけならばまだしも、ついに自己認識においても危険な兆候がみえてきた。大丈夫だろうか。
新鮮な驚き――
「迷ったら避難」社説
まず、9月6日付の社説で、朝日新聞は筆者に新鮮な驚きを与えてくれた。
〈台風豪雨―「迷ったら避難」徹底を〉
このような見出しで社説は次のように始まる。
〈険しい山間を縫って流れる十津川流域は、世界遺産の熊野古道で知られる。豊かな森と渓谷美は、厳しい風雨によって磨かれた絶景でもある。
台風12号がその流域を抱える紀伊半島を中心に深い爪痕を残した。約90人が土砂崩れや河川の氾濫(はんらん)で亡くなったり、行方不明になったりしている。
道路が寸断され、電話が不通のままの集落もある。政府は調査団を派遣した。被害の全容をつかみ、行方不明者の救助に全力を挙げることはいうまでもない。避難者への対応や衛生対策にも万全を期して欲しい〉
ここまではいいだろう。少しも読者の心に響かない、いつもの他人事の文章だ。問題は以下の部分である。
〈確かに記録的な豪雨だった。しかし、突然起きる地震とは違って、台風の危険は相当程度、予測できる。
川の水位や雨の状況をきちんとつかんでいれば、被害を最小限に抑えることができる。