震災以降、構造や地盤への突っ込んだ質問が多くなった」とはマンションの営業マンの弁。現実に首都直下型地震や東海・東南海・南海の巨大地震の発生確率も高まっている。「巨大地震に遭遇する」という前提で、安心を支える「見えない建物性能」を検証した。
建物の倒壊が
少なかった理由
東日本大震災は津波による甚大な被害をもたらした。しかし、マグニチュード(以下M)9という巨大地震にもかかわらず、阪神・淡路大震災に比べると地震の揺れによる建物の倒壊は少ない。首都圏も液状化の被害を除けば建物の被害は軽微だ。
しかし、過信は禁物。地震にはそれぞれ違う特性がある。地盤や建物にもそれぞれ固有の周期があり、地震の周期が合うと共振して大きく揺れる。今回の地震で被害が少なかったからといって、次も大丈夫という保証はない。
建物の固有周期は、ざっくりいうと建物の階数の10分の1前後。10階建ては1秒、20階建ては2秒、30階建ては3秒がおよその目安だ。この数値を頭に入れて【図2-1】を見てみよう。
これは、東日本大震災(地震名:東北地方太平洋沖地震)と阪神・淡路大震災(地震名:兵庫県南部地震)の地震特性を解析したもの。【図2-1】中の「キラーパルス」と呼ばれる周期1~2秒に注目してほしい。これが建物に甚大な被害をもたらす周期だ。
今回の地震は、阪神・淡路大震災と比べてキラーパルスが少ないため、建物の被害が少なかったと専門家はみている。