越後湯沢の遠景越後湯沢駅は東京から新幹線で1時間20分ほど。駅周辺にも多くのリゾートマンションが並ぶ

バブル期に日本各地でリゾートマンションの建設ラッシュが起こったが、末路は悲惨だ。その多くは所謂「負動産」と化し、もはや売ることも壊すこともできなくなった。どうすることもできないコンクリートの塊を見上げて、購入者たちはいま何を思うのか?※本稿は、吉川祐介『バブルリゾートの現在地 区分所有という迷宮』(角川新書)の一部を抜粋・編集したものです。

建て替えも解体もできない
老朽化したマンションが乱立

 市場価格が安いからと言って一概に管理費の納入状況が悪いマンションであると決めつけることはできないが、ある一定のラインを下回る価格帯に陥ってしまったマンションでは、管理組合は少なくとも管理費滞納の解消のために大きな出費を強いられるか、あるいは放置するという極めて消極的な二択を取らざるを得なくなる。

 ところがこの問題について、管理組合によって危機感はまちまちで、同じ組合員の中でも、当然我が事として深刻に考える人もいれば、根本的に無関心な人もいる。むしろ管理組合の理事や役員に積極的に就任する人は少数派であるというマンションが一般的ではないだろうか。

 僕の知人も湯沢町のあるリゾートマンションで理事長を務めているが、こう言い切っていた。

「マンションの理事というのは当番のような持ち回りなので、消極的に就任する人が多い。むしろ積極的に理事になりたがるような人は、逆に管理業務の私物化を目論んでいるのかと疑ってしまう」

 マンションの理事長が積立金を横領したり、あるいは昵懇の仲にある特定業者を起用してマージンを受け取っていたというような典型的な不祥事は、湯沢のみならず報道で耳にする。