間違った高揚感で“素人発言”を連発
国民の落胆を誘う「閣僚たちの愚行」

 大臣就任で舞い上がり軽率、軽薄、不穏当な言動を吐き、大臣のミッションとはお門違いの次元で世間を騒がし、時の政権を引っ掻き回す政治家はいつの時代にもいるものだ。  

 菅政権のどん底に終止符を打ち、新たなスタートを切ったばかり、いわば覚悟の船出をしたばかりの野田政権でも事情は変わらなかった。間違った高揚感でお調子者と化した閣僚たちが国民の落胆を誘い始めている。

「素人だからシビリアンコントロールができる」

 この一言で、自民党の石破茂元防衛相を「解任に値する」とまで激昂させ、一躍、悪名をはせた一川保夫防衛相。国防を一手にになう防衛大臣が、就任前とはいえ、自ら素人であることを公言し開き直るなど言語道断だ。中国、韓国、北朝鮮、ロシアなど、深刻な国境問題が進行するさなか、素人発言が安全保障上、どれだけ大きなリスクを呼び込むかわかったものではない。

 それも束の間、今度は小宮山洋子厚生労働大臣が「たばこをひと箱700円程度まで増税する」と発言。たばこ税は財務相の所管であり、厚生労働大臣としてはまことにお門違い。藤村官房長官、安住財務大臣も即座に否定。また会見したJTの役員も、

「昨年のたばこ増税で売上は20%ダウン、値上げしても税収は変わらない」

 と反発。復興財源という待ったなしの課題をほんの少しでも意識すれば、健康増進のために「たばこ増税」などというチンケな発想になるはずがない。政府が保有しているJT株売却に言及するのが、厚労大臣としての見識だろう。

極めつけは鉢呂前経済産業大臣の大愚
“おちゃらけ”が生んだ連続舌禍事件

 だがこの二閣僚の舞い上がりぶりは、政権発足後、わずか9日目で辞任にいたった鉢呂前経済産業大臣の大愚と比べれば、まだかわいいものだった。9月8日に野田首相と一緒に福島原発の被災地を視察し、帰京後の夜、記者たちとの非公式の懇談会で、防災服の袖を擦りつけるかのような仕草をしながら「放射能つけてやろうか」とちゃらけた。