グーグルが、レストランのレビューで知られるザガットを買収した。買収額は、1億2500万ドル(約97億円)とも言われている。

 ザガットは、30年以上の歴史を持つレストランのガイドブックだ。世界各地のレストランを、味やサービス、店の作りなどで評価し、欧米を中心に外食好きにとってはバイブル的存在となっている。オンライン版のユーザーも多い。

 だが、そのザガットを買収して、グーグルは一体何をするつもりなのか。

 まず、今回の買収が驚きだったのは、自社製コンテンツを抱えないことで知られるグーグルの「方向転換」のようにも思われるからである。グーグルはこれまで、ニュースにせよ地図上の情報にせよ、すべてはどこか他で作られたコンテンツを機械の力で自動的にまとめるか、ユーザーたちが自分で生み出すクラウドソースに頼るかといった方法をとってきた。

 ザガットは、そのレストランへ行った人々がレビューを送り、それが元になっているという点ではクラウドソースっぽいが、実際には手作業によるまとめや編集作業を経ており、パッケージ化されたコンテンツと言える。グーグルはこれまでこうしたコンテンツに見向きもしてこなかったのである。

 ただ、ひとつ明らかなのは、グーグルが現在、ローカル情報にかなり力を入れていることだ。グルーポンにも似た地元クーポンのグーグル・オファーズ、いろいろな場所にチェックインしたり友達の居場所を知ったりするグーグル・ラティチュードに加えて、地図関連でもローカル情報の拡充に余念がない。

 たとえば、グーグル・プレースという無料のプラットフォームをローカル・ビジネスに売り込み、グーグル・マップ上に地元の店やレストランが詳しくプロットされている。スマートフォン上の音声合成ガイドが、そこへ行く道順を伝えてくれるなど、グーグルのサービスを利用するとかなりのことができるようになってきた。そこへザガットが加われば、グーグルが提供するローカル情報の精度がさらに高まるわけだ。