ひとつのポイントカードを持っていれば、いろいろな店でポイントを貯めたり、使ったりできる企業横断型の共通ポイントプログラム。その共通ポイントといえばカルチュア・コンビニエンス・クラブ(CCC)が運営する「Tポイント」の独壇場だったが、2010年3月から後発でサービスを開始した「Ponta(ポンタ)」の急追で勢力図が変わってきた。
Tポイントの加盟企業はファミリーマートやドトールコーヒーなど約70社、会員数は約3800万人だが、ポンタは加盟企業39社で会員数3600万人と肉薄している。
ポンタは三菱商事子会社のロイヤリティマーケティング(東京都渋谷区)が運営しており、同じ三菱商事系のローソンのポイント会員約1000万人、CCCの「TSUTAYA」とライバル関係にある映像ソフトレンタルチェーンのゲオから約1000万人の会員を引き継ぎ、2000万人の会員数でスタートした。
当初は3年で3000万人という目標を立てていたが、三菱商事傘下の日本ケンタッキー・フライド・チキンを陣営に加えるなどスリーダイヤのブランド力をフル活用してわずか1年で目標を達成。「今年度(12年3月期)中には加盟企業は47社に増え、会員は4000万人に達する見込み」(ロイヤリティマーケティング経営企画部)だという。
一方、Tポイントは昨年9月に中古書店チェーンのブックオフが陣営を離脱するなど、加盟企業開拓はやや頭打ち。11年3月期の会員数増加率は前期比7%で、仮に今期も同じペースだと12年3月末では4000万人にわずかに届かず、ポンタに逆転を許すことになる。
Tポイントの会員数が名寄せ後であるのに対して、ポンタの場合は複数のポンタカードを保有している人がダブルカウントされているため厳密な比較はできないが、いずれにしろ両陣営が拮抗しつつあるのは間違いない。
IFRSの追い風を期待
この両陣営が新規加盟企業の開拓先として狙っているのが、食品スーパーとドラッグストア業界。店舗数が多い上に、来店頻度が高く、ポイントカードの利用に慣れている主婦層が多いからだ。
しかし、食品スーパーもドラッグストアも主要チェーンの多くは独自のポイントプログラムを導入しているだけに、共通ポイントへの切り替えには抵抗がある。ポイント未導入の企業も、元々が薄利多売の商売だけに粗利益を削ることになるポイント付与には及び腰。
このため、食品スーパーでは富士シティオ(横浜市)、ドラッグストアではドラッグイレブン(福岡県)と大屋(愛媛県、店名「mac」)の地場チェーン3社がTポイントに加盟しているに過ぎない。ポンタ陣営はまだ加盟ゼロだ。