一番高く買ってくれる人が訪れるタイミングとは?

 知っておきたいのは「早い時期に現れる購入希望者は“高く買ってくれる」ということだ。

 販売を開始してから早く現れる購入希望者こそが、最もその不動産に興味を持ち、評価をしているもの。時間がたてばたつほど、売却が難しくなり、最終的な売却価格が低下する傾向にある。

 見学後、購入に至らなかった場合は、その理由を仲介業者さんに尋ねてみよう。

 相場より高い、「○○が気になるような」とか、何か特定のウィークポイントがあるなど、そこから売却のヒントが見つかることも多い

 前回コラムに書いたとおり、家を売りに出してから成約に至るまでの期間は、おおよそ1ヵ月くらいがひとつの目安である。あまりに長い期間売れないと、仲介の担当者にも購入希望者にも売れ残りの印象を持たれてしまう。1ヵ月位経っても見学が少ない、オファーがないといった場合、販売方法や広告の出し方、価格などについて担当者と話し合い、仕切り直しをしたほうが良い。

 仕切り直しの後には、例えば「オープンハウス」を行うのも手だ。見学者が多い土日などに家を開放し、自由に見てもらうというスタイルの物件見学会である。

 時間を気にせず、自由に現地を訪れることが出来るのは、見学者にとっては大きなメリットだ。事前に広告などで告知して、販売担当者が家に駐在する。

 見学希望者は事前にゆっくり確認しておきたいポイントがたくさんある。気兼ねなく自由に家を訪れたいものだ。

 一方、売主であるあなたやご家族もオープンハウスの間は家にいづらいだろうから、どこかに出かける計画とセットにしておくといい。

 価格のつけ方にもポイントがある。いま、多くの購入希望者はネットで検索することによって物件情報を得ているが、このとき、キリのいい数字で条件を設けて検索している。

 例えば「3080万円」とするより「3000万円」で売りに出したほうが、検索には格段にヒットしやすい。「3000万円まで」として検索する人は多いが、「3100万円まで」として検索する人はめったにいないからだ。

 購入希望者が現れたら、購入者が書いた買付け証明書を持って、担当者があなたのもとにやってくる。この証明書は購入希望者からの、価格はいくらで買いたい、引渡しはいつが希望、住宅ローンはどのくらい使うかなど、購入にあたっての希望条件が記載されている。いわば「契約条件のオファー」だ。

 この希望条件に対し、売り主であるあなたが売り渡し承諾書を出す。内容は買い付け証明書とまったく同じ。どのような条件で、いくらで売りましょうという購入希望者への回答だ。

 不動産仲介業者をはさみ、この交渉が成立すれば晴れて売買契約の完了となる。

 売買契約が終わっても油断は出来ない。もし引渡しまでに大きな地震があって、建物が毀損したらどうなるか。あるいは、火事を起こしてしまったら…。これは、売主の責任で修復して元通りにするのが原則だ。

 また、引渡し後に瑕疵(かし)が発見された場合にはどうなるだろう。瑕疵とは「欠陥」とか「欠点」という意味で、一般的には「雨漏り」「シロアリの害」「給排水設備の故障」「木部の腐食」の4つの瑕疵について、引渡し後2~3ヵ月以内に発見された場合には、売主の責任で修復しなければならない。この責任を免責(瑕疵担保免責)とすることも出来るが、それでは購入者は不安だ。

 望ましいのはあらかじめ「ホームインスペクション(住宅診断)済」として売りに出すことだろう。このことで、物件のアラが出てしまうのではないかと恐れる向きもあるが、実際には中古住宅の買主は、自分が買う物件が完璧だとは思っていない。そんなことより「物件の良いところも悪いところも知ってから買いたい」と考えている。ホームインスペクションは、「中古住宅はよくわからないから不安」という買主の所感を解消できるのだ。

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