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吉田恒のデータが語る為替の法則

9月FOMCで何が決まっても円安転換か。金のバブルはついに破裂の重大局面へ

吉田 恒
【第151回】 2011年9月21日
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 9月20日(火)~21日(水)に予定されているFOMC(米連邦公開市場委員会)ですが、はたして、ここで「QE3(量的緩和第3弾)」やオペレーションツイスト(ツイストオペ)といった新たな緩和策が決まるのでしょうか?

 決まるかどうかはともかく、その結果を受けて金利がさらに下がるのは難しく、むしろ上がる可能性もあると私は考えているので、まずはそれについてご説明したいと思います(「米国の軌道修正で悲観論後退でドル高に。悲観論継続でも『有事のドル高』で反発へ」を参照)。

「QE2」開始後も、米国の金利は上昇に向かった

 冒頭のように考える第1の理由は、そもそも金利が空前の下がり過ぎになっているということです。

 米国の長期金利(10年もの国債の金利)の90日移動平均線からのカイ離率は、「資料1」のように一時マイナス30%まで拡大し、経験的には異常と言えるほどの下がり過ぎの可能性を示していました。

 そういった中、FOMCでどのような政策が決められても、さらに金利が下がり過ぎ拡大に向かうのは、基本的に難しいと思います。

資料1

 また、追加緩和決定後に金利が低下するのではなく、反発へ向かうことが最近は多くありました。

 「資料2」は、「QE1(量的緩和第1弾)」「QE2(量的緩和第2弾)」と米国の長期金利の関係を見たものですが、「QE」が実際に始まると長期金利はむしろ上昇へ向かっています。

資料2

 こういったことから改めて気づかされるのは、FRB(米連邦準備制度理事会)は長期金利をコントロールできないということでしょう。これは、まったく金融の常識なのですが、意外と忘れやすいものでもあります。

 政策金利の変更によって、短期金利に及ぼす中央銀行の影響力は絶対的なものがあります。しかし、長期金利を決めるのは中央銀行ではなく、景気と物価ということなのです。

今回のFOMCで、米金利は低下の限界が確認される

 今回、「QE3」とともに注目されているツイストオペが実施されたのは、今から50年前にもなる1961年で、ケネディ政権時代のことでした。

 この時も、実施後に長期金利が大きく下がることはありませんでした。それどころか、短期金利はむしろ、ツイストオペ実施前後から上昇へ向かったのです。

 その理由は、このツイストオペが実施された1961年2月は、後から振り返ると景気回復の始まりだったからです。

 ツイストオペは、FRBが購入する債券を短期から長期に移すことで、長期金利を下げる狙いのものですが、景気回復が始まると、その効果は限られました。

 以上のように見てくると、今回、「QE3」でも、ツイストオペでも、FOMCで何が決まっても、米国の金利は低下の限界を確認するといったことになるのではないでしょうか?

20営業日後から本番を迎えるバブル破裂相場

 これまでご説明してきたように、米国の長期金利は移動平均線からのカイ離率などで見ると、空前の下がり過ぎとなっていますが、この間は2%前後にとどまって、なかなか大きく動きません。

 これは、米国のデフォルト(債務不履行)懸念、欧州、ギリシャのデフォルト懸念と、次から次へと悪材料が出てくる最近のような状況が特殊なもので、過去の経験則では説明しきれないということなのでしょうか?

 ただ、現在と似たような空前の金利下がり過ぎが修正に向かった過去のケースを調べてみると、明らかな金利上昇となるまでには10営業日程度かかっていました(「資料3」参照)。

資料3

 その意味では、下がり過ぎの修正が本格化するのはFOMC以降ということで、今回も過去の似たようなケースと比べても、特別に遅いということではないようなのです。

 行き過ぎた相場、その極端なケースを「バブル」と言いますが、「バブル」の転換点は…

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吉田 恒 

立教大学文学部卒業後、自由経済社(現・T&Cフィナンシャルリサーチ)に入社。財務省、日銀のほかワシントン、ニューヨークなど内外にわたり幅広く取材活動を展開。同社代表取締役社長、T&Cホールディングス取締役歴任。緻密なデータ分析に基づき、2007年8月のサブプライムショックによる急激な円高など、何度も大相場を的中させている。2011年7月から、米国を本拠とするグローバル投資のリサーチャーズ・チーム、「マーケット エディターズ」の日本代表に就任。


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