国民生活に関する世論調査の結果が発表された。現在の生活に対する満足度は、調査開始以来最高の水準だ。20代の満足度は全年齢区分中、最も高く、レジャーや余暇に満足し、仕事に打ち込まず、自己啓発に時間を使わないという結果が浮き彫りになった。この結果は望ましいものだろうか。私にはそうは思えない。(モチベーションファクター株式会社代表取締役 山口 博)

仕事より余暇、自己啓発に関心なし
世論調査から浮かび上がる20代像

イマドキの20代は、「仕事より余暇が大事」という人が増えている。余暇を楽しむことはもちろん、悪いことではない。しかし、仕事への情熱や上昇意欲があまりにも低くなってしまえば、それは問題であると言える

 内閣府から「国民生活に関する世論調査」結果が発表された。「現在の生活にどの程度満足していますか」という問いに対して「満足している」という回答(「満足している」と「まあ満足している」の合計)は73.9%と、調査開始以来最高となった。特に、18歳から29歳の「満足している」という回答は79.5%と、全年齢区分の中で最も高い。

 この20代以下の回答は、私の目から見ると特徴的なものが多い。たとえば、「所得・収入の面」で「満足している」という回答も54.4%で全年齢区分の中で最も高い。さらに、「レジャー・余暇生活の面」の満足度に至っては76.9%と、全年齢の62.8%に対して抜きん出て高い。

「充実感を感じている」(「十分充実感を感じている」と「まあ充実感を感じている」の合計)も全年齢の73.5%に対して、20代は93.0%、全年齢区分中で最高である。

「充実感を感じている」人に対して「どのような時に感じるか」については、「仕事に打ち込んでいる時」という回答は、全年齢で調査開始以来最低の29.0%だった。特に、20代は24.7%に過ぎず、60代までの年齢区分の中で最低である。

「悩みや不安」を感じている20代は50.6%なのだが、「自由時間の過ごし方」で「教養・自己啓発」と回答した20代は11.1%。「自由時間が増えた場合にしたいこと」について「教養・自己啓発」と回答した20代は17.6%で、いずれも60代までの年齢区分で最低だ。

 現状に満足して充実感を覚え、仕事には打ち込んでいないがレジャーや余暇を満喫し、悩みや不安はなくはないが、教養や自己啓発には時間を使わないという20代像が浮かび上がってくる。次代を担う若者が満足感を覚えていて何が悪い、と思われる人もいるに違いない。しかし、私はこの満足度の高さを、ある一面からは危惧している。現状に対する不満や懸念が、進歩や革新の原動力となることが多いからだ。