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日本を元気にする新・経営学教室

企業合併・買収に隠されたもう一つの狙い
だからこそ求められる高い経営者「倫理」
慶應義塾大学ビジネススクール教授 高木晴夫

内田和成 [早稲田大学大学院商学研究科教授],成生達彦 [京都大学大学院経営管理研究部教授],平野光俊 [神戸大学大学院経営学研究科教授],根来龍之 [早稲田大学ビジネススクール教授、同ビジネススクール・ディレクター(統括責任者)、早稲田大学IT戦略研究所所長],髙木晴夫
【第31回】 2011年9月26日
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 今年2月には、新日本製鉄と住友金属工業が合併を発表した。最近では、当事者たちは否定しているものの、日立製作所と三菱重工業が経営統合を検討しているという報道が流れた。この10年ほどを振り返っても、製鉄、紙パ、医薬品などの業界で、大型の経営統合や合併が増えている。こうしたM&Aについては、表立っては語られないもう一つの狙いがある。今回はそのことについて考えてみよう。

経営者が口にしない
合併の派生効果

 日本の国内で、企業合併や経営統合が増える時期は、景気が下向きのときだ。米国でもM&Aの件数には波があるが、景気と関係なく、ある企業が一人勝ちしていって、次々と他の企業を飲み込んでいくというケースも多い。最近では、フェイスブックなどは、1ヵ月に1社のペースで企業を買収していると伝えられている。

 これに対して、日本の場合は、景気が上向きのときには、経営統合や企業合併、特に大型のM&Aはほとんど起こらない。日本では、大型のM&Aは不況期の「生き残り策」として出てくるところに、その特徴がある。

 日本の場合、大型合併では吸収合併ではなくて、ほぼ例外なく「対等合併」という言葉が使われる。しかし、実際のところ内部では、官軍と敗軍が存在する。その意味では、企業が合併する時には、どちらの企業が合併後に主導権を握るかということが、内部で働いている人にとっては死活問題になる。働く人にとっては、これは当たり前のことで、自分のポジションや処遇がどうなるかが、目の前にある喫緊の課題だからである。

 対等合併においてすら官軍と敗軍の関係になりがちなので、みな心を一つにして頑張ろうということになりづらい。つまり、経営者は組織がうまく機能するように、内部マネジメントを上手にやらないと、従業員が能力を発揮するという面で、合併効果が上がらないということになってしまう。

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内田和成(うちだ かずなり) [早稲田大学大学院商学研究科教授]

東京大学工学部卒、慶應義塾大学経営学修士(MBA)。日本航空を経て、1985年ボストンコンサルティンググループ(BCG)入社。2000年6月から04年12月まで日本代表。09年12月までシニア・アドバイザーを務める。BCG時代はハイテク・情報通信業界、自動車業界幅広い業界で、全社戦略、マーケティング戦略など多岐にわたる分野のコンサルティングを行う。06年4月、早稲田大学院商学研究科教授(現職)。07年4月より早稲田大学ビジネススクール教授。『論点思考』(東洋経済新報社)、『異業種競争戦略』(日本経済新聞出版社)、『スパークする思考』(角川書店)、『仮説思考』(東洋経済新報社)など著書多数。ブログ:「内田和成のビジネスマインド

 

成生達彦(なりう たつひこ) [京都大学大学院経営管理研究部教授]

1952年生まれ。78年横浜国立大学大学院経済学研究科修士課程卒業、81年京都大学大学院経済学研究科博士後期課程修学、89年米国ノ-スカロライナ州立大学大学院卒業(Ph.D.)、81年南山大学経営学部に就職、94年に教授、同年京都大学博士(経済学)、98年京都大学大学院経済学研究科教授、2006年京都大学大学院経営管理研究部教授、2008年~09年京都大学大学院経営管理研究部研究部長。主著に『ミクロ経済学入門』など。

平野光俊(ひらの みつとし) [神戸大学大学院経営学研究科教授]

1980年早稲田大学商学部卒業、94年神戸大学大学院経営学研究科修士課程修了、98年同大学院博士課程修了、博士(経営学)、2002年から同大学院助教授、2006年から現職。経営行動科学学会会長、日本労務学会常任理事、日本労働研究雑誌編集委員。主著に『日本型人事管理』中央経済社。

根来 龍之(ねごろ たつゆき) [早稲田大学ビジネススクール教授、同ビジネススクール・ディレクター(統括責任者)、早稲田大学IT戦略研究所所長]

京都大学卒業、慶應義塾大学大学院経営管理研究科(MBA)修了、鉄鋼会社、英ハル大学客員研究員、文教大学などを経て現職。京経営情報学会会長、国際CIO学会誌編集長、CRM協議会副理事などを歴任。2001年度より早稲田大学教授。2010年10月より早稲田大学ビジネススクール・ディレクター。ITと経営、ビジネスモデルなどを研究テーマとする。『代替品の戦略』(東洋経済新報社)、『デジタル時代の経営戦略』(共編著、メディアセレクト)、『CIOのための情報・経営戦略』(共編著、中央経済社)など著書多数。ブログ「ITと経営」

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好評だった経営学教室の新シリーズ。新たな筆者お二人を迎えて、スタートする。国内市場は成熟化する一方、グローバル化は急速に進展し、新興国の勃興も著しい。もはや、自ら新たな目標を設定し、ビジネスモデルを構築しなくてはいけない時代に突入している。日本企業に漂う閉塞感を突破するには、何がキーとなるのか。著名ビジネススクールの気鋭の教授陣が、リレー形式で問題の所在を指摘し、変革のヒントを提起する。

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