澤谷教授は、サービスデザインの思考方法として、(1)デザイン思考、(2)システム思考、(3)よそ者思考の3つを組み合わせることを提唱する。

「デザイン思考とは、顧客の立場になって『課題解決のためには、こんな仕組みが必要だ』という理想形をデザインすること。システム思考とは、その理想形を創り上げるため、他社や異業種といかに協業すべきかを考えること。最後のよそ者思考とは、自社の"常識の枠"にとらわれず、他社や異業種などの発想を大胆に採り入れることでイノベーションを起こし、理想を実現させていくことです」

 よそ者思考とは耳慣れない言葉かもしれないが、「アウト・オブ・ボックス・シンキング」(枠から外れた思考)という言葉と同義だ。「常識外れの発想」と言い替えてもいいだろう。

「たとえば、朝晩の通勤電車が慢性的に混雑しているという課題に対して、普通に考えれば、電車の運行本数を増やす、車両を2階建てにするといった解決策しか思い浮かばないかもしれません。しかし、『通勤はなくならない』という常識の枠(前提条件)を取り払えば、国全体でテレワークを推進し、通勤する人そのものを減らすといった方法も考えられるわけです」。そうした固定観念を打ち破るような発想は、社内だけでは生まれにくく、やはり、外部とのコラボレーションによる刺激が必要だと澤谷教授は語る。

「3つの思考は、いずれも日本企業があまり得意としないものばかりですが、デジタル変革の時代を生き抜くためには欠かせません。技術革新だけでなく、『考え方』の革新にも取り組んでみるべきではないでしょうか」

(取材・文/渡辺賢一 撮影/宇佐見利明)