2015年の大晦日に集団性的暴行事件が発生したケルンの現場。大手メディアの報道が遅れたことが問題になった Photo by Hirofumi Nakano

米大統領選で注目され、いまや世界中で確認されるようになったフェイクニュース。筆者は8月にドイツ、リトアニア、ラトビアに2週間滞在し、現地でのフェイクニュースの影響力などについて取材した。2回にわたってお届けするフェイクニュースに関するレポートの前半は、名実ともに西ヨーロッパのリーダーとして欧州内外に大きな影響力を持つドイツに焦点を当ててみたいと思う。(ジャーナリスト 仲野博文)

フェイクニュースは今月24日の
ドイツ総選挙にも影響を与えるか

 8000万を超える人口を抱え、世界第4位のGDPを誇るヨーロッパの大国ドイツでは今月24日に総選挙が行われ、現時点ではメルケル政権の4期目は既定路線と見られている。しかし、昨年のアメリカ大統領選挙や今年のフランス大統領選挙でフェイクニュースが話題になったこともあり、ドイツ政府や国内メディアは選挙前のフェイクニュースに神経をとがらせている。

 フェイクニュースの舞台は欧米が中心と思われがちだが、実際には世界的規模でウイルスのように広がっているのが実情だ。アフリカのケニアでは先月8日に大統領選の投票が行われたが、現職のケニヤッタ大統領が再選を果たした直後から、敗れた野党の候補が選挙に不正があったと主張。野党候補の支持者らはケニア西部を中心に抗議デモを行い、やがてデモは暴動へと形を変え、少なくとも24人が死亡し、100人近くが負傷している。