現在、マネタリーベースは470兆円近くであるのに対し、日銀のバランスシートは、買い取った国債残高が膨らみ510兆円に達している。

 国際通貨基金(IMF)の予想によれば、今年の米国の経済規模(名目GDP=国民総生産)は日本の3.9倍近くになりそうだというが、その中央銀行であるFRBよりも日銀の方が巨大になっているほどだ。

 つまり日銀は、“公約”を守ることができなかったばかりか、自らの身を危機にさらしてしまっているのだ。その結果、大きな問題になり得るものの一つとして、“出口政策”時に日銀自身が巨額の「赤字決算」に陥るばかりか、「債務超過」になってしまうリスクが懸念されている。

政府と日銀を一つに見て
大丈夫と訴える「統合政府」論

 少々難しい話になるが、日銀の収益が悪化するメカニズムはこうだ。

 日銀の目標通り、インフレ率が2%を超えるようになったとしよう。

 その際、日銀は、市中の短期金利を少なくとも2%以上に引き上げるだろう(ちなみにバブル経済期のピーク時で8%台だった)。貸出先のない銀行が準備預金として日銀に預けている“超過準備”が大量に存在する中で、利上げを実現するには、まず日銀当座預金の「付利金利」を2%以上に押し上げていく必要がある。

 しかし、資産の平均利回りは、2016年度下期でわずか0.26%と驚くほど低い。市場金利を強烈に押し下げながら国債などを購入してきたためである。日銀は当面、マイナス金利やゼロ%近辺の国債を大規模に買い続けると予想されるため、その利回りはさらに低下していくと思われる。

 つまり、運用資産からの利息収入よりも、日銀当座預金への支払利息の方が大幅に上回る巨大な“逆ザヤ”が生じる。

 日銀は自己資本を7.8兆円持っているが、それは早々に吹き飛んでしまい、債務超過に陥ってしまうというわけだ(FRBの運用利回りは2.57%と、日銀よりもはるかに高いので、日銀ほど問題は深刻ではない)。

 こうした見方に対し、「日銀が赤字になっても、日銀と政府を合体させた『統合政府』と見なせば問題はない」といった見解が国内で時折、喧伝されてきた。

 さらには、より踏み込んで、「『統合政府』として考えるなら、日銀が保有国債を無利子永久国債に交換すれば、政府の債務を事実上消し去ることができる」「無利子永久国債を日銀がさらに大規模に引き受けつつ、それによって得た資金で政府が公共工事や補助金の交付を行えば、コストなしで財政刺激策を行う“ヘリコプターマネー”が可能となる」といった主張まで聞かれる。