『週刊ダイヤモンド』9月23日号の第1特集は「株&投信 超理解」です。来年1月から、「つみたてNISA」がスタートします。その名の通り、毎月コツコツと長期にわたって積み立て投資していくことで、将来に向けた「資産形成」を行うことが目的です。この制度を半ば強引に導入したのは、金融庁の森信親長官です。その理由は何でしょうか。本特集ではそうした疑問に答えつつ、意外に知らない長期投資の効果について、丁寧に解説しています。

金融機関に改革のメスを突き付け、今や業界内で恐れられる金融庁の森信親長官 Photo:Kyodonews/amanaimages

「金融業界に対する“怒りの鉄つい”ですよ」――。

 ある運用会社の幹部は、既存のNISA(少額投資非課税制度)と併用できないつみたてNISAが来年からわざわざ新設されることについて、主導者である金融庁の森信親長官の腹の内をこう言い切る。

 2014年のNISA開始以降、「貯蓄から投資へ」という流れが今なお本格化していない原因は、金融機関の側にあったとの“反省”は一部の当事者内にもある。

 というのも、森長官は15年の就任後、「顧客本位の業務運営」を行うよう金融機関各社に要請してきたが、旧来の悪癖がすぐに改まったとはいえないからだ。

 森長官は今年4月の講演でも、顧客に投資信託を頻繁に乗り換えさせて手数料を稼ぐ「回転売買」などを引き合いに出し、「手数料獲得が優先されるビジネスは、そもそも社会的に続ける価値があるのでしょうか」と厳しい文言で資産運用業界を“断罪”。業界にあらためて改革のメスを突き付けた。

 そんな動乱を経て、長期投資を軸とした「資産形成」を本格化させようと、森長官の肝いりで来年スタートするのがつみたてNISAだ。手数料をはじめとする厳しい条件の下に対象となる投信の本数が絞られるなど、業界内では「ビジネスとしてペイしない」といった不満が渦巻く。ただ、投資初心者が資産形成に踏み出す姿勢を後押しする制度なのは間違いないだろう。