財務省が保有株式の追加売却を発表した日本郵政だが、今後の株価上昇を見込んだ話をする市場関係者は見当たらない Photo by Ryosuke Shimizu

 “商品”に自信はないが、不人気で値崩れしては困る。売り主のそんな苦悩が表れた大型取引の幕が上がった。

 9月11日、財務省は保有する日本郵政株式の追加売却を発表。2015年11月の新規株式公開(IPO)以来2度目で、最大1.4兆円分を9月中にも売り出す。

 しかし、発表の前週における郵政株の平均株価1317円は、IPO時の売り出し価格1400円を下回る。そこへさらに株が市場に出回れば、需要と供給の関係で株価の下落は目に見えている。そこで郵政株の売り主である財務省は、「直前までスキームの検討を繰り返し、何重にもわたる厳重な対策を講じた」(財務省幹部)。

 まず、郵政による1000億円の自社株買いというプチサプライズを組み込むことで株の需給悪化を和らげ、株価の下支えを狙った。

 また、株の売却規模に1000億円のバッファーを設けた。これは、投資家の人気に応じて株の売却数をコントロールすることで値崩れを防ぐ試み。国有株では初となるスキームを盛り込んだ。

 一方、財務省が売り出す郵政株を投資家に販売する、「2次売り主」である証券会社からは、「『10年持つ気で買ってください』とセールスする」(主幹事証券会社幹部)といった声が聞こえてくる。