日本は「海外の文化をうまく取り入れて発展してきた国」という印象が強いが、ハーバード大学で日本史の授業を教えているデビッド・ハウエル教授は、それとは逆に日本が世界に影響を与えてきた歴史もあるという。明治時代以前、日本はどの分野で良い影響を世界に与えてきたのだろうか。そして、今後、日本が世界に貢献するための課題とは?前回に続き、ハウエル教授に聞いた。(2017年4月20日、ハーバード大学にてインタビュー)

明治以前の日本が世界に与えた影響

佐藤 日本は海外の文化をうまく取り入れて発展してきた国だとよく言われていますが、明治時代以前に、日本が世界に影響を与えた事例は何かないでしょうか。

デビッド・ハウエル教授

ハウエル 漆器が最も有名ではないでしょうか。16世紀、ヨーロッパの学者は日本の物質文化に関心を示し、漆器の技術をこぞって研究しました。その技術は北アメリカや南アメリカまで伝播していったのです。2015年にボストン美術館で「メイド・イン・アメリカ:新世界がアジアと出会う」という特別展が開催されましたが、そこには、日本の漆器技術を取り入れてアメリカ大陸でつくられた漆器が数多く展示されていました。

佐藤 南アメリカまで、ですか。

ハウエル そうです。16世紀後半から17世紀前半にかけて来日したスペイン人が、日本から漆器を持ち帰り、その技術がスペイン領のメキシコやペルーにまで伝わったのです。さらに漆器技術はスペインからイギリス・フランスを経て、北アメリカへと伝播しました。ボストンでは多くの漆器がつくられ、漆器製造の中心地となりました。ご存じかもしれませんが、英語の「japan」は漆器を意味します。