去年11月、国土交通省と早稲田大学、日本不動産鑑定士協会連合会が初の鑑定士の広報セミナーを開催。地方でまだまだ不動産鑑定士は苦境にある Photo by Hirofumi Nishida

 文系最難関の“国家資格”として、弁護士、公認会計士と並び称されるのが「不動産鑑定士」(以下、鑑定士)だ。土地や建物の価格を評価する不動産鑑定評価を“独占業務”で行う。

 公認会計士、税理士試験と傾向が似ているため、受験者はこれら合格常連校の慶應義塾大、早稲田大、中央大、明治大、同志社大、立命館大などの出身者が多い。

 なんと、この鑑定士試験の2016年の受験者数が10年前に比べて3分の1に激減してしまったのだ。一体、不人気の理由は何か。

 原因は鑑定士になるための試験の難しさにある。東京都内のある鑑定士は「10年前に短答式・論文式の新試験が導入された当初こそ、受験者が激増した。しかし、論文式があまりに難し過ぎて合格率が低く、受験を断念する人が増えたから」と話す。

 難関をくぐり抜けて鑑定士になったとしても、地方では報われない。東京、名古屋で不動産鑑定士事務所を運営する桜木不動産コンサルタントの武藤悠史取締役は、「鑑定士業界は大都市部に大手事務所が数社。ほか、大部分が3人以下の事務所。中小の場合、1事務所当たりの売り上げも年間700万円前後と少ない上、特に地方では公共事業の減少で苦しくなっている」と明かす。