たばこメーカーにとって寝耳に水だった。「たばこ税の議論は毎年のことだけど、急に加熱式をやり玉に挙げてくるとは……」。
2018年度税制改正で、加熱式たばこの課税見直しに向けた検討が行われている。自民党の宮沢洋一税制調査会長が7日に表明したものだが、「会長の発言は唐突で、いまだ議論の方向性が分からない」とメーカー各社は当惑気味だ。
加熱式は、「パイプたばこ」に分類されており、重量を基に紙巻きたばこの本数に換算して税額が決められている。各商品によって税率が異なり、紙巻きよりも税額が低いことは、以前から問題視されていた。
20年までに加熱式のシェアが30%になるという予測もある。シェアが伸びているのに税額は低い。そんな加熱式に課す税を増やし、たばこ税全体の減収を避けようという狙いが税制見直しの背景にあるとみられる。
加熱式の増税はメーカーにとって足かせとなる。たばこ税は「消費者に負担してもらうのが本来の趣旨」(メーカー関係者)ではあるが、増税分をたばこ価格に転嫁すれば、加熱式の普及に水を差すことになりかねない。一方、増税分を値上げでなくコストとして吸収すれば、「加熱式は設備投資が多く、収益は圧迫される」(同)という。
メーカーの本音は、加熱式の課税区分を作った上で「紙巻きより税額を低くしてほしい」(別のメーカー関係者)というものだ。