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「非・被災地」は何を学ぶのか――「東北」から未来をつくる起業家を追う
【第2回】 2011年10月12日
著者・コラム紹介バックナンバー
加藤徹生 [社団法人wia代表理事]

【第2回】
被災地に眠る「見えない課題」をいかに発掘するか?
バラバラになった人々を
「コミュニティバス」でつなぐ鹿島美織

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  誰が復興を担う当事者になるのか――。震災復興に取り組むリーダーの動きに迫った前回は、「誰もが復興に向けて当事者であるべきこと」、そしてそれは東北だけではなく、「非・被災地」にいる我々にも突きつけられた課題であることを示した。
  今回紹介するのは、津波によって甚大な被害を受けた宮城県石巻市と気仙沼市で、オンデマンド型の移送サービスを目論む鹿島美織。彼女の挑戦を通じて、現地にある「見えない課題」を発掘することの重要性を見ていこう。

「友達に会えない小学生」と、コミュニティの分断

 「親を亡くし、自宅が津波に飲まれた小学生が、友達と会えなくなるなんてどういうことなの?」

 鹿島美織は憤っていた。

 約60%の家屋が被災した、宮城県石巻市(注1)では、この街では、その被害の大きさゆえに、もともと住んでいたエリアから離れて住むことを余儀なくされただけでは済まされなかった。本来、地域ごとにまとまって移住すべきとされる避難所や仮設住宅への移転が進まず、避難所や仮設住宅でのコミュニティの分断が進んでしまったのだ。

 そこで問題になったのは、移動範囲の限られる「移動弱者」たちだ。たとえば、新しい居住地に対しても当然「校区」は設定される。小学生の身になって、想像してみてほしい、もし自分が家族も家も失った時に「友達のいない小学校」に通わざるを得ないとしたら。メディアでは語られない悲劇は、今も繰り返されている。

 鹿島は堰を切ったように話し続ける。

 「今、石巻市の仮設住宅で何が求められているか知ってる? 託児所なの。お母さんたちが子どもを預けられないと、仕事を探すどころか、買い物にも行けない。頼り過ぎなのかもしれないけれど、そういうところまで察して動いてくれるボランティア団体はまだ少ないのよね」

 肝心の被災者のニーズと、ボランティアの内容が少しずつすれ違っているのだ。そこに、すれ違いが生じると、「ボランティア」はただの厄介者になってしまう。現地の雇用創出を妨げる可能性もあるし、復興のムードに水をかけてしまうことすらある。それを知るためにも、まずは鹿島が支援しようとする被災者たちの声に耳を傾けてみよう。


(注)東日本大震災 石巻市における被害の概況 石巻市 2011年
http://www.city.ishinomaki.lg.jp/mpsdata/web/7353/hisai.pdf

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加藤徹生 [社団法人wia代表理事]

社団法人wia代表理事/経営コンサルタント。
大学卒業と同時に経営コンサルタントとして独立。以来、社会起業家の育成や支援を中心に活動する。 2009年、国内だけの活動に限界を感じ、アジア各国を旅し始める。その旅の途中、カンボジアの草の根NGO、SWDCと出会い、代表チャンタ・ヌグワンの「あきらめの悪さ」に圧倒され、事業の支援を買って出る。この経験を通して、最も厳しい環境に置かれた「問題の当事者」こそが世界を変えるようなイノベーションを生み出す原動力となっているのではないか、という着想を得、『辺境から世界を変える』を上梓。
2011年6月末より、東北の復興支援に参画。社会起業家のためのクラウドファンディングを事業とする社団法人wiaを、『辺境から世界を変える』監修者の井上氏らとともに9月に立ち上げた。
twitter : @tetsuo_kato


「非・被災地」は何を学ぶのか――「東北」から未来をつくる起業家を追う

  東日本を襲った大震災から7か月。多くの避難所は閉鎖され、被災地には仮設住宅が立ち並ぶ。一方東京では、震災などなかったかのような空気が流れ、今も福島を蝕む放射能すら、忘れられてしまったかのようだ。
  だがまさにいま東北では、「新しい未来」をつくろうと動き始めた起業家たちが生まれている。本連載では、彼らの足跡を追い、その構想を見ていく。岐路に立つ日本にあって、いち早く「変わっていくこと」を突きつけられた被災地から、「非・被災地」にいる我々はいったい何を学べるのだろうか。

「「非・被災地」は何を学ぶのか――「東北」から未来をつくる起業家を追う」

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