美術館内では、スマホの電源をオフにする…そんな常識はもう古い。最近は、スマホで撮影OKという展覧会が増えている。撮った写真はSNSにアップするという新しい美術館の楽しみ方が広まっている、その背景とは。(清談社 森 江利子)

盛況の草間彌生展
SNSへのアップも多数

撮影OKにしたところ、Twitterで2万を超えるリツイートがあり、口コミ効果で当初想定の何倍も来場者が訪れた作品。[国立新美術館10周年「NACT Colors」インスタレーション(イメージ) デザイン:エマニュエル・ムホー]

 今年2月から5月にかけ、東京・六本木の国立新美術館で『草間彌生 わが永遠の魂』が開催された。

 日本を代表する前衛芸術家・草間彌生の作品を過去最大級の規模で展示した同展は、会期中に51.8万人を越える来場者を記録し、大盛況のうちに幕を閉じた。

「草間彌生展では、作品をお貸し出しいただいた草間スタジオから許諾を受け、一部の展示作品を撮影可とする運びになりました」

 こう語るのは、国立新美術館(以下、新美)の学芸課長だ。

 同展では、スマホを片手にした来場者が、写真を撮りながら作品鑑賞を楽しむ姿が多く見られた。TwitterやInstagramなどのSNS上には、作品や展覧会の様子を伝える写真が多数アップされている。

 新美は、3月~6月に開催した『ミュシャ展』でも、メイン展示の「スラヴ叙事詩」の一部を撮影フリーにしたことでも話題を呼んだ。

「ほかの美術館やギャラリー、コレクターからお借りした作品を展示する“企画展”で撮影を行うには、著作権の問題をクリアすることや、コレクターからの許諾が必要になります。一方、所蔵作品を展示する“コレクション展”は独自の判断で撮影を認められるので、とくに海外では撮影できる美術館も多いですが、“企画展”でも撮影フリーという傾向は、国内外で、ここ5、6年のことではないでしょうか」(学芸課長)